第七十三話
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
かもねぇ……。
「しかし、幸村君とそっくりですねぇ……。御父上に似たのですか?」
「いや、私も幸村も母上に似たのですよ。父は強面でしたからなぁ」
へぇ〜、お母さん似ねぇ〜……ん? お母さん似? それってちょっとおかしくない?
「あれ? 幸村君は確か、妾の子だったと本人から聞いた覚えがあるのですが」
そんなことを言うと、信之さんは少しばかり渋い顔をしてみせる。
この事情を知らなかった政宗様や小十郎も少しだけ驚いた顔をしていた。
「……母が幸村を嫌っておりましてな。遠ざける為にそのような嘘を教えてきたのです」
母親に嫌われてるって……何でまた。
そんな言葉を聞いて政宗様も眉間に皺を寄せてるし、なんか結構な事情が隠れてると見て間違いなさそう。
「私には婆娑羅の力が宿らなかったのですが、幸村は生まれて間もなく炎の力に目覚め……
幸村を抱いていた母がその力に飲まれて全身に大火傷を負ってしまったのです。
それからというものの、幸村を物の怪のように扱うようになり、見かねた父が幸村を母から遠ざけ……」
妾の子なんだと教えてきたわけか。それに尾ひれが付いて、邪魔だから出て行ったとかそんなことを言われるようになって……。
不幸な事故ではあるけど、なんか可哀想だなぁ。幸村君もさぁ。
そんな境遇に育っておいて、どうしてあんなに真っ直ぐ育ったんだろう。
うちの小十郎や政宗様とは大違いだよ。だって、幸村君の対極にいるような性格してるもん、二人とも。
そう考えて政宗様や小十郎をじっと見ていたら、二人が私の言いたい事が分かったのかかなり渋い顔をしていた。
「……悪かったな、どうせ俺は捻くれてるよ」
「あら、分かっちゃいました?」
まぁ、少し露骨だったか。反応が。
でも本当、何処で育て方間違っちゃったんだかねぇ……。
しばらく幸村君の話で盛り上がっていると、家康さんとホンダムが部屋に入って来た。
どうも織田の話を小十郎がしてくれたらしくて、その件で話が聞きたいと言われた。
とりあえず私が知っていることを包み隠さず話してみると、家康さんは眉間に皺を寄せて何かを考えているようだった。
「……お市殿の身柄なのだが、こちらで預からせてもらっても良いだろうか」
「戦に利用するつもり、というのならばお断りですが」
きっぱりとそう言えば、家康さんはとんでもない、と手を振る。
お市は私の膝を枕にして眠っていて、何処か穏やかな表情を見せている。
「豊臣が狙っているというのならば、こちらで保護した方が良いのではないかと思ってな。
……聞けば、景継殿を追って戦場にまで足を運んでしまうとか……ワシは今回前線には立たずに本陣に詰めるつもりだ。
景継殿
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ