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第五章

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「ずっと一緒にいたから」
「それでなの」
「私が言ったらいつも勉強教えてくれたし食べものも分けてくれたし漫画も貸してくれたから」
「だからなの」
「お姉ちゃんにはよくしてもらってもいたから」
 だからだというのだ。
「こうしたことでよかったら」
「作ってくれるのね」
「食べてね」
「有り難う・・・・・・」
 早紀はカレーを食べつつ応えた。
「このカレー食べて疲れ取ってね」
「そうしてなのね」
「今は忙しいけれど頑張るわ」
「そうしてね」
「あの」
 両親は真美が作ったカレーを食べながら村上に言った。
「真美をお願いします」
「いい娘ですから」
「ずっと粗末に扱ってきたわし等にこうしたことをしてくれる娘ですから」
「どうか幸せに」
「はい、俺は貴方達を許せませんでしたが」
 村上もカレーを食べつつ言う。
「真美が言うなら、そして」
「真美をですか」
「幸せにしてくれますか」
「人を幸せにしてくれる人は自分も幸せになるべきです」 
 村上は二人に答えた。
「ですから」
「そうですか、では」
「真美をお願いします」
「お姉ちゃんおかわりする?」
 真美は今も姉を気遣って声をかけた。
「だったら入れるけれど」
「それは大丈夫だから」
 早紀は妹に顔を向けて答えた。
「自分で入れるから」
「そうなの」
「ええ、もう私真美に酷いこと言わないから」
 双子の妹にこのことを言った。
「これまで本当に御免なさい」
「だからいいから。カレー食べてね」
「ええ・・・・・・」
 早紀は頷きつつカレーを食べた、そして。
 真美は家族に優しい笑顔を向け続けた。村上はその真美をずっと見ていた。そうして自分達の今の部屋に帰ってから彼女に言った。
「俺は君と出会えてよかった」
「そう言ってくれるの」
「君は本当に幸せになるべきだ」
 こう言うのだった。
「それだけのものを持っている」
「だからなのね」
「そうだ、今日のことでわかった」
 真美自身に話した。
「俺はその為に頑張る」
「そうしてくれるの」
「君がそれだけの人だから」
 真美に強い声で言った、そしてだった。
 村上は真美と結婚した、それからは彼女の幸せの為に全力を尽くした。しかし真美は穏やかで優しいままだった。
 そして。
 子供達が出来て実家に戻った時も両親そして結婚した姉にも子供達に彼等を優しい笑顔で紹介した。それから作った料理は美味いものだった。暖かい優しさのある味だった。


特技を見付けて   完


                   2020・7・28
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