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怖いお姉ちゃん
第三章

[8]前話
「余計に気をつける様になったの」
「そうだったのね」
「ええ、けれど」
 杠はお茶を飲んでいる姉にこうも言った。
「その可憐お姉ちゃんがね」
「自分の子供にはね」
「凄く甘いわね」
「私達にはあんなに怖かったのに」
 ちょっとしたことで烈火の如く怒っていたのがというのだ。
「もうね」
「ご主人と欣哉君にはね」
 息子にはというのだ。
「甘いわね」
「欣哉君が言うには」 
 津々慈は妹に話した。
「お母さん物凄く優しいってね」
「嘘みたいよね」
「滅多に怒らなくて怒り方も穏やかだって」
「じゃあ私達のは何よ」
 杠は苦笑いで言った。
「あんなに怒ったのに」
「怖かったし」
「それがね」
「ご主人や子供には何で優しいのよ」
「それわからないわよね」
「本当にそうね」 
 二人で話した、そしてだった。
 津々慈は杠にあらためて言った。
「けれど可憐お姉ちゃんもまたね」
「お誕生日ね」
「今度のプレゼント何がいいかしら」
「前はレストランだったから」
 高級な店のディナーであった。
「今度はお寿司?」
「お寿司屋さん驕るの」
「そうしてあげる?」
「そうね、じゃあね」
「ええ、お寿司屋さん探して」
 そしてというのだ。
「そしてね」
「予約して」
「可憐お姉ちゃんにね」
「美味しいお寿司食べてもらいましょう」
「それがいいわね」
 二人で笑顔で話した、そしてだった。
 二人である有名な寿司屋を予約した、そして従姉をその店に連れて行った。だがそこで夫と息子にも紹介しようと言った従姉にだ。
「本当にね」
「変わったわね、そこは」
「私達に言ったの何?」
「あの怖さは」
 二人で苦笑いで言ったが昔のことだからと返す従姉だった。そんな従姉にまたやれやれとなる二人だった。


怖いお姉ちゃん   完


                    2020・7・28
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