ちいさなしまのおはなし
ちびっこの交流
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先に大輔を中に押しやり、次にお姉ちゃんが入る。
公園に1つだけ設置されている街灯の灯りが、穴から中を照らしてくれていた。
その時、大輔は漸くお姉ちゃんの顔を見ることができた。
泣いていたのだ。
大輔は、目を見開いた。
あの姉が、いつも大輔を守ってくれている姉が、涙をぼろぼろ零して、泣いていたのである。
目を真っ赤にさせて泣き腫らして、唇をぎゅっと真一文字に結んで、嗚咽を堪えながら泣いている姿は、衝撃的だったから、今でも鮮明に思い出せる。
高い所から落ちて足を骨折したときも、男の子と喧嘩をして顔を殴られた時も、何があったって泣かなかったお姉ちゃんが、大輔の目の前で泣いている。
どうして?どうして?
大輔は分からない。
大好きなお姉ちゃんが泣いている理由が、分からない。
そんなお姉ちゃんを何とかしてあげたくて、大輔はお姉ちゃんの傍に寄り、そして……
あの時、自分は何と言ったのだったか。
周りの景色が歪んで見えるほど、地面から熱気が立ち上る。
ピョコモンの村で一晩過ごした一行は、今日こそこの広大な砂漠のエリアを抜けようと、一心不乱に歩いていた。
だが何時間歩き回っても、見渡す限りの砂漠の向こうは森も海も何も見当たらず、一直線の地平線が引かれているだけだった。
太陽の熱さと、それを反射して熱を帯びている砂漠の砂の両方から攻められ、子ども達の全身から汗が噴き出て水分が急速に失われていくのが分かった。
ピョコモンの村で調達しておいた水分も、無限ではない。
また何処かで水分を調達するなり、休めるようなところを探すなりしないと、悪戯に体力を消耗するだけである。
「はあ……はあ……もうダメぇ……」
まず最初にへたり込んでしまったのは、ミミだった。
動き回るのに全く適していない服装と靴のせいで、他の子ども達よりも負担が大きいらしく、ここに来るまでにも何度も休憩を挟んでいる。
ここが森の中や草原など、普通の環境だったら、先頭を歩く太一にしっかりしろと引っ張られていただろう。
だが砂漠地帯という特殊な環境下、灼熱地獄のど真ん中を何の装備もなしに歩き回っているのは、流石の太一でも根を上げそうになっている。
休憩が多くなるのも、自然なことだった。
「うう……」
「はあ……はあ……」
「一歩も動けないよぉ……」
限りなくないに等しい水分で生き延びている、僅かに生えた草に身を投げるように座り込んだのは、最年少の小学2年生の3人である。
身体が小さな3人は、上から容赦なく降り注いでくる太陽だけでなく、太陽の熱を吸収して熱気を吐き出している砂漠の地面とも距離が近いので、尋常ではないほどの量の汗をかいていた。
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