暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
あなたへの言葉(天羽奏誕生祭2020)
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……数拍置いた後、何かに気付いたように苦笑いした。

「姉さん、奏さん」
「どうしたの、翔?」
「何だ?」
「水を差すようで悪いけど……あれ」

翔が指差す先を見る2人。
そこに居たのは……自分より先にプレゼントを渡しに出た翼に気を遣い、完全に渡すタイミングを見失ってしまった紅介の姿であった。

「あいつ、確か……」
「穂村紅介。俺の友達で、奏さんの大ファンだよ」
「なるほど……なら、ちょっとファンサービスしてやらないとね」
「奏、あんまり揶揄っちゃダメだよ?」
「分かってるって〜」

そう言って奏は、紅介の方へとまっすぐに進んで行った。

ff

「紅介、来てるぞ」
「へぁっ!?」
「まさか、今更心の準備が〜なんて言わないだろうな?」

恭一郎と飛鳥に左右から挟まれ、紅介は慌てていた。

私服でいい、と言われたのにも関わらず今日の紅介の服装はスーツに蝶ネクタイ……いわゆる正装である。

翔を始め、全員から「昭和の学生か!」とツッコまれていたが、ビシッと整った服装に反して、紅介自身は緊張でガチガチであった。

無理もない。相手は有名人、それも彼にとって憧れの対象である天羽奏その人である。
緊張するな、という方が無理な話だろう。

そんな紅介を、普段は彼に弄られる2人が放っておく筈がなかった。
ここぞとばかりに逃げ道を封じ、肩に手を置く。

「ほら、プレゼント渡すんだろう?」
「こんな機会は滅多にないぞ?」
「いや、でもよぉ……」
「「いいからさっさと渡して来いッ!!」」
「のわあぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

恭一郎と飛鳥に思いっきり背中を押され、紅介はこちらへと向かってくる奏の方へと突き出されるのだった。



「紅介、だっけ?」
「へっ!?あっ、はっ、はいぃッ!」

いきなり名前を呼ばれ、紅介は思わず吃ってしまう。

「翔から聞いたよ。あたしに何か用があるんじゃないのかい?」
「ッ!?は、はいッ!その……」

紅介は吃りながらも、手にしていた花束を両手で持ち、息を深く吸い込む。
そして、勢いよく頭を下げながら、それを奏の方へと突き出した。

「奏さんッ!お誕生日、おめでとうございますッ!!」

花束に纏められていたのは「黄色のカラー」、7月28日の誕生花だ。
花言葉は「華麗なる美」、そして「乙女のしとやかさ」。紅介が、翔や恭一郎に何度も確認を取りながら、プレゼントとしての意味合いが重くならないものをと選んだものだ。

普段はデリカシーのデの字もない紅介が、最大級の礼儀、礼節を以て選んだプレゼント。
その努力を、親友達だけが知っている。

「綺麗な花だな……ありがと。部屋に飾っておくよ」
「あのッ!それと……」
「ん?どうした、言
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