第七十一話
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けじゃないけど、残酷なことをやるだけの覚悟と理由が必要になる。
私だって戦場には軽い態度を見せてるけど、生半可な覚悟で挑んではいない。
おかしいよ……確かに復讐したいって気持ちは分かるよ。分かるけど……。
「それで話を戻すけど、豊臣の連中が魔王の妹を攫うことを画策しているそうだ。
近いうちに、何かしらの行動に出ると思う」
何かしらの行動、一体何をするつもりなんだろう。
もう少し佐助から情報を聞き出そうとしたところで、政宗様が私よりも先に口を開いていた。
「猿、そいつを教える意図は何だ」
「第六天魔王の復活、西軍にいるからって容認出来るもんじゃないんだ。
西軍にいる人間のほとんどが魔王復活を阻止したいと考えてる……
それは、東軍であろうが何だろうが利害関係は一致してるからな」
穏やかな表情で眠る市を見て、少しばかり哀れにも思ってしまう。
償うべき罪はあるけれども、幸せには何処か程遠いような儚さがある。
魔王の妹でなければ、普通に幸せを掴めていたのだろうか。そんなことさえ思わせてしまう。
そっと頬を撫でてやると、誰かの名前を呼んでいた。いい夢を見ているのだろうか。
出来ることならば良い夢を見ていて欲しい、そんな風に思う。
「そういうわけだから、俺様はこれで失礼するよ。おっと、真田の旦那に伝えておくことはある?」
「佐助が破廉恥で困ってるって言っといて」
「了解、絶対伝えない」
消えた佐助を見送って、また幸村君に会う機会があれば直に伝えようと思った。
でも、今気にしなきゃならないのはそんなことじゃない。
……何というか、明るみになっていく事実が何ともなぁ……。
東軍に付いた方がマシなような気もするけど、石田本人にも会って話を聞いてるわけじゃないし、
家康さんだって会ったのはこんな事態になる前のことだし……。
私は胸の中に湧いた疑問を、どうしても拭うことが出来なかった。
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