第七十一話
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しようとか、そんな小細工が出来るタイプじゃないもん。
んなことするくらいなら、自分から突っ込んで行って刀を振るうような人間でしょ?
「いや……そうじゃない。というか、石田自体大将としては機能してないというか……
石田を総大将に上げてるけど、実際指示を出してるのはその側近の大谷吉継だ」
総大将として機能してない……? そりゃまた、随分と意味深なことを。そこら辺、詳しく聞きたいもんだ。
「だって、この日本を東西に分けた戦いって、はっきり言えば覇権争いでしょ?
石田が豊臣の後継ってことで天下を掌握するのか、それとも徳川が天下を獲って新たな世を築くのか、って為に戦うわけじゃない。
なのにその石田が総大将として機能してないってのはおかしくない?」
そう突くと、佐助がかなり渋い顔をして頬を掻いていた。
この様子だと嘘を言ってるってわけじゃなさそうだけど……。
「……まぁ、西軍に付いてる人間は、皆知ってる話だから言っちゃうけどもさ。
豊臣秀吉を徳川家康が倒したってのは周知の話だけど、石田は秀吉を狂信的に崇拝していたんだ。
で、徳川が秀吉を討ったことに逆上して、仇討ちをしようとしている。つまり」
「まさか、敵討ちの為に西軍を束ねて戦おうっての? 豊臣の意思を継ごうってんじゃなくて?」
「……そういうこと。石田は極論、徳川家康さえ殺せればその後の日本がどうなろうと知ったこっちゃないんだってさ」
佐助から齎された意外な事実に、私は言葉を失ってしまった。
待ってよ、ってことは、この大戦は石田の個人的な恨みによって引き起こされたもの、ってこと?
そりゃ、復讐に燃えてるってのは知ってたけども、他にもいろいろ理由があると思ってたよ。
だって、そんなに信奉するくらいなら、敵討ちの為だけに日本の半分を動かすなんて愚行をするはずがないじゃん。
「っていうか……何でそれが分かってて西軍に付いたの? 仮に西軍が勝ったら大変な事になるじゃない!」
結局束ねる気が無いのだから、また日本は戦乱の世に戻る。己が天下人になろうと、また血で血を洗う戦いが始まる。
西軍が勝ったら乱世が長引くことを意味している。それが分かっていてどうして西軍に組みしているのか。
「いろいろな思惑があるのさ。それは東軍に付いている人間にだって言えることだ。伊達もそうだろ? 独眼竜」
「……まぁな」
佐助の言葉に政宗様が無表情に答えているけど、私はどうにも納得が出来なかった。
確かに各国には思惑があって同盟を組んでるってのは分かっている。けれどこんな理由で戦をしていいの……?
戦ってのは多くの人を死なせるものだから、上に立つ人間はきっちり理由がなければならない。
大義名分があれば人を殺してもいいってわ
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