第六十九話
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「二十年前、兄ちゃんが晴れの日に雷に打たれて死んだ!!
皆雲ひとつ無いのに変だって言ってたけど、不幸な事故で片付けた!
だけど俺は見てたんだ……こいつの身体から雷が発せられるのを!!」
二十年前、って言ったらまだ十歳とかそこらよね?
……待てよ、そう言えばそのくらいから小十郎が婆娑羅の力を使えるようになったんだっけ。
あの頃は覚醒したてでまだコントロールが上手く出来なくて、時折暴走させては姉が必死に止めてた覚えがあるな。
姉もそんなに強くは無いけど、雷の力持ってるし、同じ属性だと無効化させることが出来るらしくて避雷針になってたこともあったような……。
ってことは、小十郎が暴走させた時にたまたま居合わせて……?
「片倉の鬼子! テメェだけは許せない!! 絶対に殺してやる!!」
懐に仕舞いこんでいた匕首を取り出して、小十郎を傷つけようと必死にもがくものの、重力の力には逆らえず身動きが取れない。
「本当か、小十郎」
政宗様の問いに、しばらく俯いた後しっかりと顔を上げて、小十郎は静かに頷いた。
「……その通りです。その者の兄を、小十郎は雷の力で」
小十郎はとても悲しそうな顔をして目を伏せている。
まさか、小十郎が人を殺していたなんて思わなかった。
あの時のことは覚えてる。晴れていたのに雷が落ちて黒焦げになったって、聞かされたから妙なこともあるもんだって思った。
小十郎も笑って私に気をつけるように言っていたし、それが小十郎がやったなんて全く思わなかった。
……事が事実であるのならばこれは正当な仇討ち、殺してやりたいと思うのは確かだとは思うんだけど……。
私は重力の力を掛けて、六助を地面に押し付けてやる。
相撲取りが圧し掛かってるくらいの圧力を掛けられて、六助が苦しそうにもがこうとしている。
「……アンタの兄貴も、小十郎のこと散々にいじめてたじゃない。
身体中、痣ばっかり出来るくらいに殴ったり蹴ったりしてさぁ……。自業自得だったんじゃないの?」
「なっ……」
小十郎が何かを言いたそうに口を開くが、私はそれを許さなかった。ちなみに六郎にはそれに答えるだけの余裕はありません。
だって相撲取りに圧し掛かられたら、普通の人は耐えられないよ。
「小十郎のこと鬼子って言うけどさ……ここにもう一人、“鬼子”がいるのを忘れてない?」
ほんの少しだけ重力を解いて、喋れるくらいの圧力にしてみる。すると、六助は怯えた顔をして私を見た。
「化け物!! 小十郎だけじゃなくて、テメェもやっぱり化け物だったのか!!」
化け物とは言ってくれるじゃないのよ。もうちょっと圧力掛けてやろうかしら。
そう思ったところで、小十郎が何も言わずに近づ
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