第二百六十三話
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第二百六十三話 首に飾って
亜美は自分の首に母から貰ったネックレス、それをしてみてからセレニティとアルテミスに対して尋ねた。
「どやろか」
「はい、いいかと」
「似合っています」
「銀の小さなチェーンのそれがです」
「実にいいです」
「そやねんね、シンプルやけど」
そのネックレスを見て亜美も言う。
「首に飾るとな」
「いいですね」
「ご主人の首が生えます」
「ただ首にそれがあるだけで」
「色気も感じます」
「色気な」
そう言われてだ、亜美はこう言った。
「今まで言われたことないわ」
「左様ですか」
「そうなのですか」
「これといってな、ただな」
亜美はこうも言った。
「昔はうちみたいな歳で結婚してたんやろ」
「えっ、結婚ですか」
「ご主人が」
使い魔達は主のその言葉にだった。
驚きの声をあげてこう言った。
「まさか」
「それはまだまだ先では」
「もう十年以上は先では」
「遥か先のことでは」
「うちもそう思うけど」
亜美自身もだった。
「けどな」
「それでもですか」
「昔はですか」
「そやで、十一とかでな」
子供と言っていい年齢でというのだ。
「結婚してたんやで」
「そうですか」
「恐ろしいですね」
「うちも信じられんけど」
それでもというのだ。
「昔はそやってん」
「ではご主人もですか」
「結婚されてですか」
「色気もですか」
「ある様になったのですね」
「そうみたいやな」
信じられないという顔で言うのだった、そうしてそのネックレスを付けた自分の姿を鏡で見てそのうえで微笑んだ。
第二百六十三話 完
2020・5・14
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