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竜のもうひとつの瞳
第六十八話
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の小十郎の出生地と同じところなわけなんだけどもさ。
母親は伊達の重臣である鬼庭良直殿の正室で、訳あって離縁されて姉と一緒に片倉家に入った。
これも史実通りになってる。

 で、そこで双子として生を受けた私達は、自称神様のお告げもあって一緒に育てられてきたんだけど、
双子ってのは災いを招くって信じられてたもんだから、迫害されてきたわけよ。私達は。
でも、私以上に周りの目が酷かったのは小十郎の方で、大体双子ってのは後に生まれた方を
間引いたり里子に出したりするもんだからさ、鬼子って言われてよくいじめられてたのよね。

 でも迫害されてきたのは双子だから、って理由と、もう一つは左利きだからってのがあってさ。
利き手くらいどっちだって良いじゃんって思うんだけど、やっぱりそういうのも異端視される原因で、
幼い頃は神社に生まれた鬼の子だと大人達からは蔑まれ、子供達からは暴力を振るわれて散々だったわけだ。

 なら家ではどうだったのかと言えば、歳の離れた異母兄弟は私達のことを快くは思ってなくて、
何かにつけて馬鹿にするようなことを言ってくるんだわ。
時には母上の悪口まで言ったりするもんだからさ、これは流石に姉の方がキレてきっついお仕置きをしてたっけ。

 家にも外にも居場所が無くて、グレられる程小十郎も大きく無かったから、専ら辛いと言って泣けるのが私だけだった。
姉は昔から怖かったし、そういう連中を見返してやりたいってかなり躍起になって小十郎に教育施してたしね〜。
まぁ、今思えば自分達を捨てた父親を見返したかったってのがあったのかもしれないけどさ。
本当のところはどうだったのか、私にもよく分からない。

 話を戻すと、あの六助は兄弟揃ってよく小十郎を捕まえては叩いたり蹴ったりしていじめてたわけよ。
まぁ、そこで私が止めに入って追っ払ってく、ってのがいつもの流れだったわけだけど……

 「なるほどなぁ、そんな事情があったのか。小十郎も随分苦労して生きてきたんだな」

 「本当、小さい頃の政宗様よりも居場所が無かったですよ。小十郎は」

 政宗様も史実通り子供の頃はいろいろと辛い目にも遭っていたけど、それでも周りに政宗様を支えてくれる人はいた。
先代だって政宗様を可愛がっていたしね。お母さんは……まぁ、語るまでも無いけどさ。

 「お前は?」

 私はというと……まぁ、私だって似たようなもんだったけどもさ、私は右利きだし最初に生まれた方だから小十郎ほどは酷くなかったと思う。
……それに、こういう状況はわりと慣れていて、何か改めて傷つくことも無かったっていうかね。

 「私は大したことはありませんでした。小さい頃はいっつも小十郎が泣いてて、それを宥めるのが私の役目でしたよ。
あんな環境で育って、変に歪ん
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