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竜のもうひとつの瞳
第十三章〜片倉の鬼子〜
第六十七話
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だっての。あの竹中さんが適当にこんなん渡すわけないし……
絶対になんか裏があったとしか思えない。

 「これも一度手入れするか」

 手入れって、おっちゃんあっさり言ってくれるけど大丈夫なわけ?
人を無性に切りたくなる刀なんでしょ? こんなん持って刀振り回されたら洒落になんないもの。

 「でも、おっちゃん大丈夫? 刀振り回したくならない?」

 「心配すんじゃねぇよ! 妖刀が怖くて鍛冶屋がやれるかってんだ! がっはっは!」

 むー、おっちゃんがそう言うのなら信じてもいいかもしれないけども……。

 とりあえずおっちゃんに刀を託してすっかり丸腰になった私達は、修理するまでの間にと予備の刀を借りることになった。

 「おーい、六助! 刀三本持って来てくれや!」

 「六助?」

 聞きなれないその名前に私は首を傾げる。

 「おう。ここ半月ほど前にな、この鍛冶屋で働いてんだよ」

 へー、おっちゃんが人を雇うなんて珍しい。大抵一人でも平気だって言って雇わないのに。

 「いやな、最近腰痛がめっきり酷くなっちまってよぉ……そろそろ俺の跡を継ぐ奴を作ってもいいかなと思ってな」

 「何弱気なこと言ってんの。おっちゃんが仕事しなくなったらボケるよ?
それも色ボケ。やだよー? ここに来て胸とかお尻とか触られんの」

 「嬢ちゃんの平たい胸なんざ触ったって嬉しくねぇよ! 胸も尻も弟に負けてるんじゃねぇのか?」

 なんて失礼極まりないことを言うので、重力で叩き潰しておきました。
確かに小十郎の方が胸があるよ、筋肉的な意味で! お尻も張りがあって引き締まってるし!!

 「くっ……小十郎めぇ〜、男のくせにけしからん乳や尻をしおってからに!
そんなけしからん乳や尻には仕置きをしてやる!!」

 「はっきりとそのようなことを言わないで下さい!! というか、その卑猥な手付きを止めて下さい!!」

 胸を揉んでやるとばかりに両手を動かしてじりじりと小十郎に迫ってやれば、小十郎は自分の胸を両腕で隠して政宗様の後ろに隠れている。
ちなみに政宗様は、もうこんなやり取りも慣れたとばかりに溜息を吐いているから可愛くない。

 かしゃん、と刀を落とす音が聞こえて私達は一斉にその方向を見る。

 「……鬼子」

 三本の刀を用意していたその男の言葉に、小十郎が一瞬にして表情を強張らせていた。
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