第一章
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空を見上げる犬
その薄茶色の長めの毛で垂れ耳の子犬を見てだった、蜂須賀良黒髪をショートにしている中背で痩せた身体の少年はこう言った。
「そういえば今日だったんだ」
「ワンちゃんが家に来るのはね」
「子犬一匹貰うって言ってて」
「この子がよ」
黒く長い髪の毛の女性が良に言う、彼の母である碧琉である。
「そうよ、三丁目の山田さんのところに子犬が六匹生まれて」
「そのうちの一匹だね」
「六匹共飼い主見付かっててね」
「そのうちの一匹をうちが貰ったんだね」
「そういうことよ」
「成程ね、何時かって思っていたら」
犬が来るのがだ、良は今は学校から帰ったばかりでその犬を見て言うのだ。
「今日だったんだね」
「それじゃあ何時だって思ってたの?」
「三日後辺りだって思っていたよ」
「そうだったのね」
「案外早かったね、けれどその子今日からうちの家族だね」
「ええ、そうよ」
母は息子にその通りだと答えた。
「可愛がってあげてね」
「うん、僕も犬が好きだし」
良にしろ犬が来るのを待っていたのだ、ただそれが少し早かっただけだ。
「それじゃあね」
「宜しくね」
「お散歩とかご飯あげたりとかね」
「ブラッシングもね」
「やっていくよ」
「それじゃあね」
こうしてだった、その犬は良の家の犬となった。一家三人父の明眼鏡をかけてにこにことした顔立ちで黒髪を左で分けたサラリーマンの彼もだった。
犬を可愛がった、犬は種類は雑種で性別は雄だった。名前はどうしたかというと。
良は家に来たその日に犬が犬小屋に案内されてから暫く空を見上げていたのでそれで両親に言った。
「お空見上げているからソラにしよう」
「ソラか」
「その名前にするの」
「どうかな」
こう両親に言った。
「その名前で」
「いい名前だな、そうするか」
「その子の名前はね」
「それじゃあね」
こうして犬の名前はソラになった、ソラはそれからも散歩になるといつも少し空を見上げて小屋にいる時もだ。
空を見上げることが多かった、それは朝も昼も夜もで。
雨でもだった、それで良は両親に家で尋ねた。
「犬ってお空好きなのかな」
「そんな話は聞いたことがないな」
「お母さんもね」
「ソラだけじゃないか」
「お空が好きなワンちゃんは」
「そうなんだ、しかしね」
良はどうかという顔で述べた。
「ソラって本当によくお空見上げてるよ」
「それだけ空が好きなのか」
「そうした子ってことね」
「そういうことかな」
良はソラを見上げつつ言った、そんな中で。
街の花火大会の日になるとだ、両親は良に言った。
「花火観に行くか」
「今年もね」
「家族全員でな」
「そうしましょう」
「うん、
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