第11話 緊張の商談
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談はスタートした。丁度時刻は3時。午前中に並んで用意したフェザーンでも評判の店のバームクーヘンを、ウーラント卿の許可を得て添える様に出してもらう。バームクーヘンの断面の模様が木の年輪のように見え、繁栄、長寿、幸せ重ねる、を連想させるから縁起の良いものだとされている。フラウベッカーから習ったんだよな。先生の教え、さっそく活きてます。
初対面での贈り物は、目上の立場からならともかく、目下の者からの贈り物は高価なものは逆に失礼とされる。目下の物は予算が少ないなりに気遣いと足を使って好意を示すのが良いとされるのだ。
「うむ。バームクーヘンは良縁にもつながるし、たいそう美味じゃ」
ウーラント卿も喜んでくれたようだし、クリスティンとユルゲンも笑顔で食べてくれている。俺もご相伴に預かったが、朝から並んだことを差し引いてもかなり美味だった。フェザーンの印象など、当たり障りのない話をしながら、1杯目を飲み終わり、ユルゲン名義の返杯となる2杯目がテーブルに並んだ所で、船長が本題に入った。
「ウーラント卿、今回バーラト系に属している私どもにお声がけ頂けたのは、視野を広くもって判断材料を集められたいのではと愚考いたしました。同席いたしましたターナーは、同盟でも辺境星域の出身で、亡命系の教育機関にも短期入学しております。ひいき目なし......とは申しませんが、忌憚なく同盟の現状をご説明できるでしょう。その上でのご判断が私共がお役に立てる物であれば、是非お力にならせていただきたく存じます。そのような形で進めさせていただいても宜しいでしょうか?」
ウーラント卿が同意するのを受けて、船長が俺に視線を向ける。
「では、非才ながら不肖ターナーがご説明させていただきます」
俺は船長から預かった大き目のタブレットに一枚にまとめた概要図を表示してウーラント卿の手元に置く。また同じものを表示した私物のタブレットを、クリスティンとユルゲンの間に置いた。
「概要図をご覧ください。現在の同盟では大きく分けて5個の属性に分けられます。このうちの一つである辺境星域に関しては、満足なインフラ投資を受けられずぎりぎりの生活を余儀なくされています。亡命後の居住候補としては厳しいので除外いたします」
ユルゲンの反応はイマイチだが、ウーラント卿とクリスティンは頷いている。それなりの資産を持ち込んでいるのに、わざわざ辺境の未開拓エリアに移住するのは、かなりの物好きか脛に傷がある奴位だろう。
「まず経済的に一番大きな派閥であるバーラト系です。中心は同盟の建国者たちの子孫です。同盟の富裕層の多くが、ここに該当します。バーラト系でも亡命者の扱いで大きく原理派と融和派に分かれています。勢力は防衛戦争が優勢なこともあり、融和派が少し優勢です」
原理派はある意味もっとも主
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