第7話 友人
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家の面目をつぶす事になる。
で、話を戻すが、生涯を通じて亡命派としか接点を持たない人材ももちろんいるが、中には士官学校を始め同盟圏内に進路を取る者もいる。なので、俺のような短期入学者は、あくまで同盟の価値観で行動して良い旨を伝えられている。
そして争いに関しても、実力行使ではなく口論レベルなら許可されていた。まあ、上層部からすれば、同盟内で使える人材育成のために同盟の価値観にも触れさせようってトコなんだろうが俺から言わせれば、こっちに丸投げしてくるな!とも思う。
「おのれ!我らを愚弄するか!」
「貴様!」
って、こいつら煽り耐性低すぎだろ。しかも帯剣してる短刀に手をかけやがった。フラウベッカー、実力行使は禁止されてるんじゃないの?話が違うじゃん。どうするかなあ。一応、収容所流の護身術はおっちゃん達に習ったけど、さすがに実力行使しても良いもんかね。抜かれちゃうと、こっちも手加減できない。とは言う物の、こっちも学ばせてもらってる身だし、部外者だ。さすがに実力行使まで行くと、厄介な事になりそうだなぁ。フラウベッカーにお説教を食らうのは避けたい事態だ。
「その辺にしておいたらどうだ?非武装の相手に二人掛り。おまけに抜けもしない短刀をちらつかせるとは見るに堪えねえな。それともいっそ抜いてみるかい?俺の目の前でさ」
声の主の方へ振り返ると、浅黒い肌に黒髪の男が、俺に突っかかって来た二人組に鋭い視線を向けていた。
「ちっ」
「庶子のくせに生意気な」
俺の耳には聞こえたが、黒髪には聞こえるかどうかの声量で捨て台詞を吐くと、二人組はそそくさと図書室から出て行った。典型的な三下の行動だが、自分の目の前で繰り広げられる事になるとは思わなかった。
「おい、オレンジ。お前も甘いな。俺が奴らの仲間だったらどうする?実力行使は禁止されているが、奴らがやる気だったら、俺に視線を向けた時点でかなりの不利を背負うとこだぜ」
三下のお芝居になのか?甘ちゃんな俺の行動に対してか?
黒髪はニヤニヤしながら俺に声をかけてきた。
「オレンジでも良いが、俺はカーク・ターナーだ。お礼を言うべきだな。助かったよ」
「フレデリック・ジャスパーだ。まあ、庶子とは言え俺もオルテンブルク家の者だ。俺の在学中に問題があればこっちにも文句が来るかもしれんからな。わが身可愛さの行動だからそこまで気にしなくて良い」
やれやれと絵にかいたような所作をするジャスパーは、どこかコミカルで思わず笑ってしまった。笑っている俺をジャスパーは一瞬想定外な表情で見たが、自分でも感じる所があったのだろう。俺に誘われる様に笑い始めた。これ以降、短期留学中はなんだかんだとつるむ仲になる。お互い認めないだろうが、もしかしたら初めての同い年の友人だったのかもしれない。
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