第6話 イーセンブルク校
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の下、庶民の生活にも配慮している訳だ。ただ、これもバーラト系からすると軍備増強に振り切った政策を進める中で、消極的な非協力に映り、論点にもなっている。もっとも、亡命初期に強硬派の暴走があったのも事実で、強く出られずにいるようだ。
そんなこと考えながら、帝国風の街並みに目を向ける。帝国本土の映像は同盟内に出回ってはいない。ただ、亡命系はここでも故国風を貫いたようだ。前世で言う欧州風の街並みが続く。前世でも海外視察で何か国も訪問したが、飯は和食が一番だ。ただ、この街並みを見る限り、和食はなさそうだな。そうこうしているうちに目的地であるイーセンブルク校にタクシーが到着する。
俺は銀行口座とリンクした身分証をリーダーにかざし、料金を支払う。
「そういえばおっちゃん、亡命系ではチップ制ってあるの?」
「大丈夫だ。平民の間でチップのやり取りはねえ。もっとも貴族様にはお抱えの運転手がいるからな。通常はそちらを使うし、緊急で人手がいる時に要請が来たりするんだ。そういう時は多めにお足を頂けたりするけどな」
「なるほどね。勉強になったよ。ありがとう」
俺の返事に、おっちゃんはにやりと笑うと、ドアを閉めて走り去っていった。走り去るタクシーを横目に、俺は受付に向かい、メイド見習いであろう受付嬢に来校の旨を伝えた。
「カーク・ターナー様ですね。当校への短期入校との旨、受け賜っております。担当講師が参りますので、あちらのお席でお待ちください」
形式だけなら満点だが、どこか一線を置く雰囲気で受付嬢の対応を受けると、俺は指示された通り待合用のソファーに腰かけた。おお、さすが亡命系。待合室のソファーも結構いいものだ。どうせなら寮もこんな感じなら......。なんてことを考えながら担当講師とやらの到着を待つことにした。
受付嬢の態度に関しては特に言うつもりはない。彼女たちはあくまで帝国風の階級社会に生きているんだ。平民の若造に心からの敬意を払うのはそもそも無理だろうし、そういう部分を見透かされるレベルだから、メイド見習いなんだから。
宇宙暦723年 帝国暦414年 3月末
惑星シロン イーセンブルク校
マナー講師 フラウベッカー
「分かりました。待合室に迎えに参りますので、そちらで待たせるように。対応感謝します」
受付から私が担当する短期入学者、カーク・ターナーが到着した旨の連絡に回答し、講師陣に与えられた控室からエントランスへ向かう。ここで短慮な講師なら嫌がらせで待たせたりするのだろうけど、亡命系の立ち位置も踏まえ、対応に配慮してほしい旨のご指示を頂いていた事もあり、足早に待合室に向かった。
「はぁ。厄介な事にならなければ良いけど......」
年に数名、このイーセンブルク校にもマナー学習の為に短期入学
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