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カーク・ターナーの憂鬱
第2話 今世も今世
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、帝国から嗜好品を輸入し始めたせいで、かなりの打撃を受けている。
勢力を伸長しつつあったシロンを中心とする亡命系の勢力を抑えるために、バーラト系の政治家が、率先してフェザーンの成立に関わった。なんて話もあるくらいだ。あらゆる業界でバーラト系とシロン系はよく言って冷戦状態らしい。

話を戻そう。結局、政治・行政・経済・軍の意思決定に影響力を持てる層は、ほとんどバーラト星系を軸にした閥に独占されている状況だ。そして物心つく頃から身体を動かしながら働いている地方星系から、いわゆるブルーワーカーとして若者が流出している。
そして軍だったり商船だったりの、死亡するリスクの大きい分野を担うわけだ。地方星系って不満を持たないんだろうか?あの島国ならともかく、安保を結んでいた当時の最強国家なら暴動物だけどなあ。んで、少しでも自助努力で豊かになろうものなら潰されそうになる。これって、やってることは歴史のカリキュラムに出ていた崩壊した地球政府がシリウス政府にしたことと変わらないような。

「カーク!ご飯できたわよ〜」

そんなことを考えながら通信教育の動画を見ていると、母さんからお声がかかった。思考するのはこの辺にして、動画を停止し、階下に向かう。

ダイニングに入ると、料理の仕上げをしているのであろう母の背中が目にはいる。アイランドの右側下段の引き出しからランチョンマットを3枚取り出し、小脇に挟みながら冷蔵庫からお茶入りのガラスポットを取り出す。
ダイニングのいつもの定位置と、その間にランチョンマットを敷き、間に敷いたランチョンマットに冷えたガラスポットを置く。それが終わるとキッチンにとって返し、グラス・ナイフ・フォークをそれぞれ2つ手に取り、ランチョンマットの上に整えた。

「ナイスタイミング〜 完成よ」

セットし終えた頃合いで、母さんの楽し気な声が響く。メインの盛られた2枚の皿を運ぶ母さんを横目に、俺はトースターで温められたブレットを小さめのかごに盛り、母さんと俺の定位置の間に置かれたガラスポットの隣に置けば、夕食の準備完了だ。

「カーク。しっかり食べてね」

「うん。いただきます」

そうして母と2人の夕食が始まったわけだが、俺には父親がいないわけではない。今は空席ではあるが、二人で囲んでいるこのテーブルにも、当然父親の定位置がある。母から見て左手、俺から見て右手の、いわゆる御誕生日席が、本来なら父の定位置だった。

「カーク?父さんにも色々事情があるのよ。あんまり悪く思わないでね」

無意識に視線が父の定位置に向いていたのだろうか?母が少し悲し気に話しかけてくる。俺が事情があるのはわかっている旨を応えると

「ありがとう。カークにはお願いばかりでごめんなさいね」

と返してきた。前世の記憶持ちの俺からすれば
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