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カーク・ターナーの憂鬱
第2話 今世も今世
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。初等学校の設立が成るまでに、必要とされる時間は、想像以上に長いものになるかもしれなかった。

とは言え俺にとっては悪いことばかりではなかった。前述のとおり、経済規模に見合うインフラ投資のお陰で、若年層というより、子供と言っても良い年齢の俺でも働ける。建国当初は子供もマンパワーにせざるをえなかったから、自動車をはじめ、重機なども女性や子供でも扱えるように作られている。
通信教育が充実しているおかげで、自分の進捗に合わせて学習できるし、普通免許をこの年齢でとれたのも、通信教育のお陰だ。前世で関わったこともあり、重機の免許も持っている。
最も、普通免許以外の資格で稼げるのは、満15歳を超えてからだ。もっと稼ぎたい俺からすると、面倒でしかない商習慣だが、確かに資格があるとしても、建設現場で子供が重機を扱うのは、作業員たちの心的に不安があるだろう。そして、弁護士や会計士といった資格に関しては、学習はできる物の、専門教育機関への在籍が資格取得の条件になっている。

そういう意味では、何とか自己学習を続けながら、15歳までにある程度資格を取り、それで身を立てる道も候補にはなりえる。ただ、この道を選んでもエコニアに留まるのは良い選択肢ではないだろう。消費の面でもエコニア経済に大きく付与するであろう捕虜収容所だが、軍という組織にいた捕虜の面々は、各分野のエキスパートでもある。
つまり重機を扱える人材も当然いるだろうし、彼らを捕虜価格で使える以上、かなりシビアな商売になるだろう。

となると、16歳になるのを待って軍に志願するか?ただ、士官学校を出ずに入隊すると二等兵からのスタートだ。冷戦状態ならともかく、自由惑星同盟は現在帝国と絶賛戦争中。士官学校卒ならともかく、二等兵として従軍すれば、上司運が悪ければ即戦死だろう。となると、何とか商船に潜り込んで仕送りするのが一番良い選択だろうか?

ただなあ、商船乗りにも暗黙の学閥みたいなものがある。同盟系の資本下ならハイネセン記念大学、フェザーン系の資本下ならフェザーン商科大を出ていないと、経済界では二流扱いされる。

「明文化された貴族はいないけど、経済的な格差で、貴族に近い階層はいるんだよなあ」

捕虜収容所でのおっちゃんたちとの会話を思い出し、俺は思わずつぶやいてしまう。

自由惑星同盟で身を立てるなら、軍人としては士官学校、官僚としては国立自治大学、経済界ならハイネセン記念大学を卒業しないと話にならない。ところが、この3校の入学者は、ほとんど首都星系であるバーラト出身者が占める。
続くのはシロンの出身者だが、あそこは帝国からの亡命者たちが、効率重視で嗜好品が少なすぎた同盟国内で、帝国流の嗜好品を生産し始めたバックボーンを持っている。経済的には恵まれていたが、40年ほど前に成立したフェザーンが
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