第六十四話
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の婆娑羅の力、それが暴走したのでしょう」
雷の力……? だって、私には重力の力が備わっていて雷の力なんか……。
はた、と暴走する前に叫んだ言葉を思い出す。
小十郎が守ってくれた。私の声を聞いて、助けてくれたんだ。こんなに離れているのに。
それに行き当たった途端、心の中に残っていた動揺が一瞬にして晴れた。
あの子が側にいる、そう思っただけでこんなにも心強くあれるなんて。
私も小十郎のこと言えないか。立派なブラコンだって認めるよ。小十郎大好きだし。
「ごめんなさい、立花さん。もう大丈夫」
ゆっくりと立ち上がって、にっ、と笑った。立花さんも穏やかに笑ってくれる。
正気に戻ったのならばすることは一つ。よし、逃げるか。
立ち止まっていた五人組にとっとと逃げろと指示を出し、私も退却すべく一番手薄なルートを探す。
無論、襲ってくる敵を重力で放り投げながらだけどもね。
ふと、儀式を中断されて放置されたお市に目が行く。
ぼんやりとしながら何処を見ているのか分からないその顔を見て、すぐに刀を納めてそっちに駆け寄って行った。
「ごめんね、攫わせて貰うわよ」
重力の力を使って、ひょいっと抱きかかえて立花さんにも撤退を指示する。
本能寺の入口に近づいた辺りで慶次と合流し、五人がしっかり着いて来ているのを確認して一言織田の連中に向かって叫んだ。
「おい! この女がどうなってもいいのかぁ!!」
……もう段々とこういう悪役には慣れて来ました。立派な反社会的な人間になっている気がするわ。
ちなみにこの悪人顔負けの凄みは小十郎から倣いました。そんなこと言ったら絶対に怒られるけど。
ともかくそれで怯んだ織田を見て、私は重力の力を使って全員同時に空へと飛び上がった。
立花さんが妙な声を上げてたけど、まぁ、慣れない人は怖いかもしれない。
とりあえず重力で操作をして、京の町付近にある森へと向かう事にした。
今日は幸か不幸か花火大会で夜だってのに明るいから、姿が丸見えにならないよう少し離れた場所に降りた方がいいだろうって判断をしたわけ。
それプラス京まで飛ぶと疲れるから。九人も纏めて空飛ぶのって結構集中力使うから神経すり減らすんだもん。
ってなわけで、しばしの空中散歩をする破目になってしまいました。
慶次が空から花火を眺めて楽しそうだったけど、私にはそんな余裕はありません。
……ったく、こっちはギリギリの勝負をしてるってのに……叩き落してやろうか、慶次め。
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