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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第42話:三流と一流の違い
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 共に地面に倒れ伏し、取り押さえられた透とクリス。
 琥珀メイジにより押さえつけられた2人を、メデューサは満足気に見下ろしていた。

「散々手古摺らせてくれたが、それもここまでのようだな」
「ち、チクショウッ!?」

 いけ好かない態度をとるメデューサにせめて一矢は報いようと拘束から脱しようとするクリスだったが、傷だらけな上に体力も限界な彼女では成人男性を超える力を持ったメイジの拘束から逃れることは出来ない。逆に暴れるなと言わんばかりに地面に押さえつけられる。
 その際土が口に入り、じゃりじゃりとした嫌な感触が口の中に広がった。

 だが彼女はまだマシな方だ。深刻なのは透の方。何しろ彼はメデューサにより猛毒の魔法を掛けられたのだ。そしてその毒は未だ彼の体を蝕んでいる。
 現に今も、彼は押さえ付けられながら口から血反吐を吐き出している上に呼吸も弱っていた。誰の目にも、今の彼が死に掛けである事は明らかであった。

 そんな彼の様子に、クリスは抵抗を止め透の治療を懇願した。

「透ッ!? なぁ、頼むよ!? 透の事は助けてやってくれ!?」
「ダメだ。そいつはミスター・ワイズマンを裏切ったのだ。それ相応の報いを受けてもらう」
「ならあたしが代わりに罰を受ける!? あたしになら何したって構わない!? だから頼む! 透の事は見逃してやってくれ!!」

 必死に懇願するクリスを、メデューサは仮面の奥から冷たい眼差しで見つめていた。その隣に佇むヒュドラは、彼女の必死さが滑稽に感じられたのか腹を抱えて笑っている。

「はっはっはっ!! 無駄無駄! こいつにそんなお涙頂戴は通用しないって」

 どこか小馬鹿にしたようなヒュドラの物言いに、メデューサは彼を鋭い視線で睨みつける。得物を睨む蛇の様な眼光に晒され、しかしヒュドラは微塵も怖じ気付いた様子も無く暢気に口笛を吹いて誤魔化した。

 彼の飄々とした様子にメデューサは忌々し気に鼻を鳴らすと、徐にクリスの髪を掴んで彼女の体を持ち上げた。

「うあっ?!」
「これまで散々逆らってきたのだ。そこの裏切り者にも、そしてそいつに手を貸したお前にも相応の報いを受けてもらう」

 メデューサはクリスにそう告げると、右手を指輪を交換し魔法を発動した。

〈コントロール、ナーウ〉

 メデューサが魔法を発動すると、彼女の手から放たれた魔法陣がクリスの体を包み込む。
 次の瞬間、首から下の感覚が無くなった事にクリスは自由に動く首から上で自身の体を見渡した。

「何だッ!? か、体が──!?」

 感覚は全くないのに、体は勝手に立ち上がりメデューサと向かい合う。自らの前に立つクリスに、メデューサは満足そうに頷くと次の瞬間とんでもない事を告げた。

「よし。ではそこの裏切り者
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