ウィザードvsアナザーウィザード
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その上好きな人まで犠牲になって? それで愛? そんなの、お前のただのわがままだろう?」
「……ねえ、ユッキー? あの人、変なこと言ってるよ? ひどいよね。自分だってマスターなのに。ね? 分かるでしょユッキー。だから、私がユッキーを助けてあげる。私が聖杯を手に入れて、ユッキーを助けてあげる」
「君だけが被害者じゃない! 自分一人だけの世界でもない! 自分だけのために、みんなを犠牲にしていいわけがない!」
「それが何? この世界は私とユッキーだけのものよ。だから、死んでくれるでしょ? ねえ、私たちのために死んでよ! ……ねえ? 本物のウィザードさん」
由乃はそのまま。黒い時計を取り出す。ウィザードの顔が描かれた時計を。
「私がユッキーのお嫁さんになるために____お前は邪魔」
『ウィザード』
「だからさあ。ウィザードの力、全部頂戴。ウィザードの令呪、全部頂戴? そうすれば、私ももう一度マスターになれるでしょ? だから、ウィザードの全部、私に頂戴」
仮面のごとく張り付いた笑顔のまま、由乃はウィザードの時計を体に埋め込む。紫の魔法陣がハルトと同じ動きで彼女を通過し、アナザーウィザードとなる。
仮面の下で流す、血の涙。幸輝の死体から名残惜しそうに離れ、アナザーウィザードはウィザード変身者と対峙する。
『ドライバーオン プリーズ』
奪ったはずのウィザードの力。それが彼にもあると証明するように、彼の腰に銀のベルトが出現した。アナザーウィザードのそれとはことなり、骨ではなく銀でできたベルト。その両端にあるつまみを操作することで、彼のベルトが歌い出した。
『シャバドゥビタッチヘンシーン シャバドゥビタッチヘンシーン』
うるさい音声が、ベルトから流れ出した。その音声のなか、彼は静かに左手にルビーの指輪を取り付ける。
「変身!」
『フレイム プリーズ』
ベルトに指輪をかざす。すると、彼の左側に魔法陣が出現した。
『ヒー ヒー ヒーヒーヒー』
なるほど。本物のウィザードは、こういう変身プロセスなのか、とウィザードへの変身を見守りながら、アナザーウィザードは思った。
キラキラのルビーの面。黒く、綺麗なマント。アナザーウィザードの姿と比較すると、とても清潔に見えて気に入らない。
『コネクト プリーズ』
新たな指輪を使い、生まれた魔法陣より、銀の武器を取り出したウィザードは、その銃口をこちらに向けながら言った。
「お前の身勝手を止めてやる!」
「来なさい!」
アナザーウィザードも、自身の武器として、常日頃より携帯しているサバイバルナイフを取り出す。するとそれは、アナザーウィザードの存在により、歪み、腕ほどの長さの銃剣となる。
それは、ウィザードの武器、ウィ
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