ウィザードvsアナザーウィザード
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『アサシンが死んだ。それだけだよ』
「アサシンが死んだ?」
その言葉が、由乃の耳には遠くに聞こえた。まるで木霊するかのように言葉が繰り返される。
「どういうこと? 何を言ってるの?」
キュウべえを掴み上げ、由乃は顔を近づける。
「アサシンが死んだ? 何で? どうしてよッ! サーヴァントがいないと、聖杯との繋がりがなくなるんでしょ!」
『そうだね。サーヴァントがいなくなった時点で、君にマスターの資格はない』
「ふざけないで! モノクマは? モノクマを呼びなさい!」
『彼は来ないよ。君の姿に満足して、新しいマスターを探しに行ってる』
「新しいマスター?」
さらに心に重くのしかかる単語。由乃の顔がみるみる青くなっていく。
「なんで? 私はまだ生きてるわ! まだ戦える!」
『君はもう脱落したんだよ。我妻由乃』
感情をむき出しにする由乃とは対照的に、キュウべえは全く声が動かない。当たり前のような妖精の言葉に、由乃はその頭部を圧し潰す。丸から形容できない形になっても、キュウべえは一切動じない。
『君が生き残ろうと、もう願いはかなわない。ならば改めて、別の手段で願いを叶えることを考えるべきじゃないのかい? どうして君たち人間は、そこまで目的以上に手段に拘るんだい? 全くわけがわからないよ』
キュウべえを地面に落とした。
キュウべえが視界の下へフェードアウトしてから、どう移動したのか分からない。由乃は呆けたように見上げていた。口がガタガタと震え、全身が痙攣していた。
「もう……願いが叶わない……」
足が幸輝の腹に当たる。
「ユッキーが生き返らない……ユッキーが、私を受け入れてくれない……ユッキーが私をお嫁さんにしてくれない……」
やがて、全身から脱力し、その場で膝を折る。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ?」
ただ、世界への慟哭が響いた。
しばらく泣き続けた由乃は、やがて足元の幸輝の体に触れる。すでに冷たくなってる肉体のそばで横になり、その顔に自らの頬を当てた。
「おかしいよね……? ユッキー」
ひんやりとした肌触りが心地いい。涙でぬれた頬を、乾ききった幸輝と半分こ。
「私たちは一緒よ? 明日も来週も来年も来世も。ね?」
「……いい加減にしてよ」
「……あ?」
敵の声に、由乃は沈んだ目を向けた。まさに虫を見る目で、彼を見下ろす。
「邪魔をするな。今は私とユッキーの大事な時間よ。私たちの愛の時間よ」
「愛? ……ふざけるのもいい加減にしてよ。チノちゃんたちの学校をメチャクチャにして、大勢の人を困らせて!
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