第十二章〜そうだ、本能寺に行こう〜
第六十一話
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本能寺をねぐらにしてるっていうから、
奥州でそんな事件が出てくる前にと調査に来たわけ」
「……その話、本当かい?」
「確証はないから推論の域を出ないけど、かなり可能性は高いわね」
慶次は眉を顰めて腕を組み、何事かを考えているようでもあった。
いつもおちゃらけた表情ばかりを見せている慶次がこんな顔をするなんて、ちょっと意外。
慶次もこういう真面目な顔をすれば、魅力がぐぐっと上がるのに。
……いや、それは利家さんに服を着ろと言うのと同じくらいの無理難題か。
「小夜さん、その話謙信にも聞かせたい。一緒に来てくれるかい?」
いや、来てくれるかいって……少し前に殺されかかったの、知ってるっしょ?
それで行く行く、って言う方がおかしいでしょうが。大体、私なんか肩貫かれてるわけなんだし。
この怪我だって最近になってようやく塞がったのよ?
もっと言うと、まだ何となく違和感があっておかしいくらいだってのに。
「あ……大丈夫だって。今回は事情が違うから、謙信だって襲い掛かったりしないからさぁ。
……というよりも、第六天魔王が本当に復活されると俺達も困る」
流石に私や四人が嫌そうな顔をしているので気付いたのか、慶次が苦笑してそんなことを言う。
でもまぁ、利害関係が一致してるって言うのなら……それに、そこまで言うのならついて行っても……。
「……ってなわけだから、アンタ達刀なんか抜かないように。小十郎だって負けるんだからさ、下手なことしないでよ?」
そう言ってやると、四人は少しばかり釈然としない顔をして従ってくれた。
こいつら、大丈夫かしら。何かこのままだと軍神の顔見た瞬間に切りかかりに行きそうだよ。
ならばここは、絶対に黙らせる方法を取っておきますかね。
「……もし勝手なことしたら、減給だからね」
「ぜ、絶対しないっす!!」
声を揃えて言った四人に、私は満足そうに頷いてみせた。
雇われの身分で減給を口にされると、従わないわけにはいかないのよねぇ〜。
こいつらの直属の上司は小十郎だから私に直接の権限はないわけだけどさ、
小十郎が基本的に私には逆らえないってのが分かってるから、大人しくなってくれるわけだ。
「よし、じゃあ慶次。連れてって」
「了解!」
慶次に案内されるままに私達は軍神がいるという宿に案内された。
……これで上杉の連中に襲い掛かられたら、慶次の服ひん剥いて、慶次も服もどっかに売っ払ってやる。
ここは京の町、慶次くらいの甘いマスクなら買ってくれるところもあるでしょう。
例えば、男を相手にする商売のとことかね!
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