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竜のもうひとつの瞳
第十二章〜そうだ、本能寺に行こう〜
第六十一話
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てそうじゃないよと手を振っている。

 「京で花火大会があるっていうから、上杉でそれを見に来たのさ。今は場所取りで動いてるんだよ」

 花火大会ぃ? この関ヶ原の戦いが勃発しそうなタイミングで花見見物っすか。

 「へぇ〜、花火大会ねぇ〜。つか、この御時勢に花火見物とは流石軍神、格が違うわ」

 半ば嫌味でそんなことを言ってやったんだけど、慶次は苦笑するばかりで反論しようとはしない。
この様子を見れば案外同じことを考えてるのかもしれないね。口に出さないだけで。

 「甲斐の虎と戦えないんなら、興味が無いんだってさ。それに越後に攻めてこようって動きも今のところないし」

 「この隙を狙って攻めてくるんじゃない? 例えば奥州とか」

 「どうかねぇ……奥州も内乱が酷いっていうから、当面は動けないと思うけどね。
今、独眼竜が躍起になって奥州統べ直してるっていうしさ」

 慶次の情報に私は目を細めていた。独眼竜が、ってことはやっぱり政宗様の目が覚めたんだ。

 この情報を聞いてどういうことかと詰め寄る四人に事情を話している慶次を横目で見つつ、
現状ではまだ政宗様のストーリーの序盤辺りであることを予測する。

 確か甲斐に攻め込んで、幸村君を叩き切ろうとしたところで小十郎が止めに入るのよね。
そこで徳川からの同盟を受けて正式に東軍に組することになる、と。
それまでの間にあちこち戦を仕掛けてフラグを立てていくわけだけど……こうなると、越後には行かない方向になるのかしら。

 「ところで、皆は何しに来たのさ。花火見物、ってわけじゃなさそうだけど」

 そんなことを考えているところで、慶次が私に尋ねてくる。
別に慶次相手なら喋っちゃってもいいかと、旅の目的を話すことにした。

 「織田の残党が不穏な動きを見せてるって話、知ってる?」

 「……織田が?」

 私の話に表情を引き締めた慶次は、詳しくどういうことかと聞いてくる。
急に真面目な顔をした慶次に戸惑いはしたものの、とりあえず話を続けることにした。

 「最近西国と関東で行方不明事件が多発してるのは知ってるかな」

 「ああ。村全体から人だけが消えるっていう奇妙な事件だろ?
一説じゃ、黒い手が人間だけを飲み込んでいったって聞くけど、どうも眉唾物だね」

 流石は風来坊、そこまで知ってますか。
まぁ、聞いただけじゃそうなんだけど、目にしている立場としては嘘じゃないんだな、これが。

 「その行方不明事件、第六天魔王を蘇らせようと織田が儀式の為に村人を攫ってるって話なのよ。
ここに来る前に立ち寄った甲斐でもそんな事件があって、躑躅ヶ崎館が黒い手に襲われて被害を受けた。
どうもこの黒い手ってのが市姫の婆娑羅技っぽくてね……連中、
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