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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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ても太一と空が一緒に間に割って入るから、溝が深まったり仲がこじれたりすることが少なく、太一達のクラスは学年の中でも1番クラスの団結力が強いと評判なのである。
男子は無暗に女子を邪険に扱ったりしないし、女子も必要以上に男子を莫迦にすることが少ない。
太一自身、問題児と呼ばれているものの、それは飽くまで教師の間の話であって、生徒達から苦情が来たことは全くと言っていいほどないのだ。
というのも、太一が問題を起こす前に治が止めたり、空が諌めたりするから、生徒同士の問題に発展しないのである。
5年生にしてサッカー部のキャプテンということもあって、どちらかと言うと太一は問題を解決に導こうとする方だ。
彼が問題児と呼ばれているのは、先生の言うことを聞かない、体育以外の授業を爆睡して過ごす、宿題は忘れる、など“教師にとって”の問題児であって、決して生徒に意地悪をするような問題児という訳ではない。
何が言いたいかと言えば、そんな太一が先生と衝突したとしても、空は呆れるか後で軽くお説教をするかのどちらかで、大きな声を出して八つ当たり気味に叫ぶことが、全くないのだ。
感情のままに叫ぶところを見たことがなかったからこそ、太一も治も呆気に取られていたのである。
しかしこの暑さと熱さだ、自分だけでなく元気がない下級生にも気を回さなければならないと、ちょっとだけピリピリしていた空の気も知らないで、無邪気にじゃれついてきたピヨモンを怒鳴りつけてしまったのは、もう仕方がないとしか言いようがない。

『……ソラ、疲れてるの?ごめんなさい、ピヨモン大人しくする……』

そして、見るからにしょぼーんと元気をなくすピヨモン。
まるで料理中のお母さんに、甘えようとしたら危ないでしょって怒鳴られた子供のようだった。
自他共に男勝りと言われている空だが、それと同じくらい、母性に満ちた女性である。
そんな姿のピヨモンなんか見てしまったら、もうダメだった。

「あーん、分かった分かった。一緒に歩こう?」
『わーい!アタシ、嬉しい!ソーラァ、だあい好き!』

今泣いたカラスがもう笑った。
甘ったれなデジモンでこの先不安だという表情だが、同時に泣きだしそうな子供を見て、キュンとなって泣きやませようと甘えさせてくれるお母さんのようにも見える。
空の足にすり寄っているピヨモンは、何処からどう見てもお母さんに甘える娘だった。





率直な感想は“小さい”である。
大輔やヒカリ、賢などの最年少組でも入ることは困難では、と思うほど、子ども達の目の前に広がっている小屋は文字通り小さかった。

『ピョコモンの村にいらっしゃ〜い!』

小屋の中からわらわらと出てきたのは、頭に青い花を咲かせた蛸のようなデジモン、ピョコモン。
ピヨモンが嬉しそうにピョコモンに挨
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