ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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、その熱を反射する砂のせいで、子ども達の頬を撫でる風は、爽やかとは言い難い。
「うあ〜、暑い……」
「やっぱり森の中にいた方がよかったんじゃ……」
「このままじゃ、全員干上がっちゃうな……」
『はぁ……う〜ん……』
「……暑いのか、ゴマモン?」
『氷が欲しい〜……せめて水ぅ〜……』
何とか暑さを誤魔化そうと、気力を振り絞って会話になっていない会話を繋げる子ども達だったが、結局暑いに戻ってしまっている。
海洋生物のゴマモンが、今にも倒れそうなのが心配で、丈は自分が暑くて疲労が溜まっているのも我慢して、ゴマモンを抱き上げてやった。
さっきの森のエリアならまだしも、こんな砂漠のエリアじゃあ川は愚か池などの水源を見つける方が難しい。
オマケにゴマモンは見た目通りならアザラシのように、寒い地域に生息しているであろうデジモンだ。
ということは、ゴマモンは寒いところに適した身体になっているために、寒さには強くとも暑さには対応できない身体のはずである。
他の誰よりもへばっているところを見ると、丈の見立ては間違いないだろう。
未だ自分達の状況を理解しがたいものの、だからと言って自分を助けて、慕ってくれている未知の生物を放っておくほど、丈も鬼ではない。
ちょっと我慢してくれよ、って肩にかけている鞄にゴマモンを乗せ、自分の身体で日陰を作ってやった。
「気休めにしかならないと思うけど……」
『ありがとう、ジョー……』
それでも丈の気づかいは嬉しかった。
「帽子貸してあげようか、パルモン?」
『うん……』
大きなピンクのテンガロンハットを脱ぎ、ミミはパルモンに被せてやる。
似合うじゃない、ってはしゃぐミミを見て、空は苦笑した。
上級生達は、概ねそんな感じで、元気ではないもののまだ気力は残っている。
問題は下級生の3人だ。
下級生達は先輩達が行くならと黙ってついてきているが、限界が近かった。
体力がない上に、身体が成長期のデジモン達と同じぐらいなこともあって、砂を反射する熱を上級生達よりも近くで浴びることになっているのだ。
足取りはフラフラだし、かいている汗が上級生達よりも若干多い。
このままでは熱中症になりかねない、と下級生達に目を配っていた治が太一に相談しようとした時だった。
「いい加減にして!!私はねぇ、今喉が渇いてて疲れてるし、歩いてて疲れてるし、貴女とじゃれてる余裕はないのよ!余計疲れるでしょ!!」
治のすぐ後ろで空の怒鳴り声がしたので、ギョッとなってみんなで立ち止まる。
空が苛立たし気に声を荒げて怒鳴るなんて、滅多にないことだからだ。
空は太一と治と同じクラスで、太一が男の子達のリーダーなら、空は女の子達のリーダーだった。
そしてリーダー同士が仲が良いから、男女で諍いがあったとし
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