ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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ている。
欧米のようにコンクリートジャングルが建ち並んでいる国もあれば、伝統を護り続けている国もある。
だがテレビのせいで乾燥地帯、または広大な砂漠の国で、生き物達が毎日デッドオアアライブを繰り広げているというイメージが先行してしまい、遠い地域であることもあってなかなか正しい情報が入ってこないものだ。
「ブイモン、大丈夫かぁ……?疲れてないかぁ……?」
『うぇ〜……』
喉が渇き始めた大輔は、同じく熱さと暑さでひぃひぃ言っているブイモンに、力なく問いかける。
が、最早答える気力すらないようで、ブイモンが返したのはうめき声だけだった。
「暑いねぇ……」
「喉乾いたよぉ……」
ヒカリと賢も弱音を吐き始める。
まだ小学2年生の3人だ、バテるのが早いのも当然であった。
だがこんな広大な砂漠に、休めるところは愚か太陽の光を遮ってくれるような陰もない。
砂漠を突っ切るのはやはり無謀だったか?と太一と治は顔を見合わせた。
「……ええっ!?何よこれぇ!!」
突如として、ミミが叫んだので、子ども達は足を止めた。
掌を見つめているので、何事かとみんなで集まれば、ミミが持っていたのは何かが高速で回っている、時計のようなものだった。
聞けば、今自分達が何処に向かおうとしているのか確かめようと思ったミミは、父親から無断で拝借したキャンプセットからコンパスを取り出したらしい。
だがそのコンパスは、取り出した途端に使い物にならなくなった。
コンパスには磁気コンパスとジャイロコンパスと呼ばれる2つの種類がある。
磁気コンパスというのは磁石を使って地球の地場の方向を測定するものであり、ジャイロコンパスとは高速回転するコマの運動を用いて方位を知る道具だ。
ミミが持っているのは磁気コンパスである。
すなわち……。
「……砂みたいに見えたけど、これよく見たら鉄の粉だ。磁石にくっつきますよ」
「磁気コンパスが狂うわけだ。ミミちゃん、残念だけどそのコンパスはもう使い物にならないよ」
光子郎と治が言う。理科の実験で、磁石にコンパスを近づけるとどうなるか、ということを行った者はいるだろう。
あれと似たようなことが、目の前で起きている。
安いコンパスなら、一発でアウトだ。
改めて自分達がとんでもない所にいるということを、再認識させられてしまった。
ミミの絶叫が、辺り一帯に響き渡った。
悪意というのは、人の目の届かないところで、静かに蠢くものである。
早く水を確保した方がいい、という光子郎の言葉の下に、子ども達は再び歩き出す。
砂の中の僅かな水分を吸い上げて根性を見せた雑草が、時折吹く風でかさかさと揺れる音がした。
しかし上から降り注ぐ太陽の光と
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