ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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めてしまったのだ。
分かっているのは、ここは自分達の世界じゃないって言うことだけだ。
ここにはデジモンしかいない、とデジモン達は言うので、手助けなど期待するだけ無駄である。
最初から詰んでいるのだ、この旅は。せめてこの世界を護っている神様みたいな存在が、お主らに使命を授けるとか何とか言って放り出してくれれば、まだ救いはあったのに、現実はゲームみたいにそう簡単にはいかないらしい。
さてどうしたものか、と何となしに下に視線をやった空の視界に映ったのは、満面の笑みを浮かべて空に擦り寄っているピヨモンであった。
『アタシはぁ、ソラがいてくれればそれであーんしん!』
そう言ってピヨモンはうっとりとした表情で空に甘えている。
そんなピヨモンを、空は困ったように見下ろし、小さく溜息を吐いた。
「そんなぁ……100%安心されちゃっても、困るんだけどなぁ。責任とれないよ?」
『……ひゃくぱー?』
「あ、いい、いい。気にしなくて……」
『せきにん、とれ?』
「いいってば、気にしないで?」
空が何気なく呟いた言葉を、1つも聞き漏らすまいとピヨモンは首を傾げながら、彼女の言葉をたどたどしく繰り返す。
聞こえていたとは思っていなかった空は、慌てて忘れるように言い含めたが、ピヨモンはニコニコとした笑顔を空に向けた。
『アタシィ、ソラの喋ってることいーっぱい知りたぁい!教えて、ねぇ?』
「そんなの知らなくていいよ!」
何じゃれてるんだよ、って先を歩き始めた治が呆れて空とピヨモンに声をかける。
そんなんじゃないってば、って空は憤慨しながらピヨモンと一緒に歩き出した。
そんな空とピヨモンを観察していた光子郎に目敏く気づいたテントモンが、光子郎にこっそりと耳打ちしてやる。
『ピヨモンは人懐っこいデジモンなんや』
「なるほど……デジモンによって性格がそれぞれ違うんですね……君はどうなんだい?」
鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気のピヨモンが、空と手を繋いでいるのを横目に見た光子郎の探求心に火が付いたようで、テントモンの方を見ながら目を輝かせた。
光子郎と話が出来るのが嬉しいのか、テントモンは嬉々として喋り出している。
お喋りに興じている光子郎とテントモンを目の前に、ピヨモンは空の名前を何度も連呼していた。
ずっとずっと、気が遠くなるほどずっと空達を待っていたと、初めて会った時に教えてくれた当時ピョコモン、現在ピヨモン。
空に逢えたのがよほど嬉しかったのか、隙あらばピヨモンは空に甘え、噛みしめるように空の名前を何度も呟いているのだ。
出会った当初こそ、何か用事があるのかと思って、なぁにって返事をしていたのだけれど、その度に呼んだだけーって返されるので、今ではもう何も言わなくなっている。
無視されているに等しい状況だと
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