ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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け遅れていた最年少3人も、先輩達の言葉を聞いて、パートナー達と一緒に空を見上げていた。
視界を一瞬だけ横切った黒い何か。
何だろうね、あれ、ってパタモンとプロットモンとブイモンは呑気に会話をしていたのだが……。
ぞ、
じんわりと熱い空気が漂っているはずなのに、どうしてか分からないけれど、大輔とヒカリと賢の背筋に寒いものが走った。
ひ、と喉の奥が引き攣って、最初に動いたのは賢であった。
一瞬にして全身に鳥肌が立った賢は、表情を引きつらせながら治の元までダッシュしたのである。
いきなりダッシュし出したので、パタモンはビックリしてそんなに早くない飛行スピードを一生懸命上げて、賢の後を追った。
それが、上記の治の悲鳴に繋がる。
「どうした、賢?」
「………………」
賢は何も言わず、ただ治にしがみ付くだけだった。
不思議に思った治だが、こういう時の弟は何を言っても教えてくれないということはよく分かっているので、苦笑しながら賢の頭を優しく撫でてやる。
「……ん?ヒカリ?」
そんな治と賢をぼんやり眺めていた太一だったが、ちょいちょいと服を引っ張られた気がして振り返ると、遠慮がちに太一の服を掴んでいる妹の姿があった。
どうした?って太一はヒカリに尋ねるけれど、賢のだんまりが伝染してしまったのか、彼女も何も言わない。
普段から自己主張をしない妹だけれど、今回は輪にかけてだんまりになっていた。
困った太一は、治のように妹を撫でてやることしか出来なかった。
「………………」
『……ダイスケ?』
そんな2人を、複雑な表情で見つめる大輔。
ブイモンは気づかわし気に大輔の名を呼ぶけれど、大輔は何でもないって言って上級生の下へと走った。
「さ、行きましょうか」
様子のおかしい下級生3人を何とか落ち着かせた後、空はみんなを鼓舞するように口を開いた。
「そうだね、泣き言言ったって始まらないから……」
「……とは言ったものの、当てなんかないのが現状なんだよなぁ」
治も空に乗っかったが、珍しく太一が弱気な発言をして台無しにする。
が、太一の言うことは事実だ。そもそも何の前触れもなく異世界に飛ばされた子ども達は、まず何をすればいいのかさえ分かっていないのである。
何処に行けばいいのか、このデジモンと呼ばれる生き物達が何故自分達と行動を共にしているのかすら、子ども達には分からない。
だってデジモン達に聞いても、さっぱり要領を得ないのである。
君達は誰、ここは何処って聞いても、デジモンはデジモン、デジタルワールドはデジタルワールドだって最早哲学みたいな回答しか返ってこないし、どうして自分達の名前を知っているんだって質問も、ずっと待っていたからと答えにすらなっていない言葉だったから、殆ど諦
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