ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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ある。
返ってきた言葉に、大輔ははてなと首を傾げた。
嫌われたくなかった?
出会ってまだ1日も経っていないのに、大輔がブイモンを嫌うなんて、おかしな話だと思った。
嫌いというのは、深く付き合っていく中で、どうしてもこれが我慢できないが積み重なって爆発して、生まれる感情だ。
少なくとも大輔はそう認識していた。
だから知り合ったばかりのブイモンが、自分の弱点を晒すことで大輔に嫌われるのでは、と考えるのが、どうしても理解できなかった。
「……えっとさ、俺達まだ知り合ったばっかじゃん?だからまだ好きとか嫌いとか……よく分かんないからさ、今は気にしなくていいんじゃないか?」
よく分かんないけど、と大輔は頬をかく。
俯いていたブイモンは、弾けるように顔をあげて大輔を見た。
大輔は、照れたように笑っていた。
「もっとちゃんと、ブイモンのこと教えてくれよ。俺、お前のこと何にも知らねぇもん。ブイモンは何でか俺のこと知ってたけどさ」
知らないのなら、知っていけばいい。
好きになるか嫌いになるかは、その後だ。
でもきっと、大輔はブイモンのことを嫌いになるなんてことはあり得ないだろう。
それは、プロットモンとパタモン、そしてヒカリと賢も同じだった。
「あ、あのね、ブイモン。上手く言えないんだけど、その、何かあったら僕やパタモンにも言ってね?僕に出来ることがあったら、力になるから……」
『そうだよ!遠慮なんかしなくていいからね!』
賢が何処か気まずそうに、でも真っ直ぐブイモンを見つめながらそう言った。
パタモンも張り切っている様子である。
「私達が触るのは平気だったもんね。大丈夫だよ、そんなことぐらいで、私達はブイモンのこと嫌いになったりしないから……」
『そうよ、そもそもこんなのいつものことじゃない。今更よ』
「ちょ、ちょっと、プロットモン……」
ヒカリがせっかくいい話で締めくくろうとしていたのに、プロットモンがちょっと辛辣なことを言い出したので、ヒカリが慌てて止める。
が、プロットモンの言葉はばっちり届いていたようで、ブイモンはぐぬぬと歯を食いしばっていた。
……少しずつ、調子が戻ってきているみたいだ。
「おーい、お前ら!そろそろ飯にしようぜ!」
話し終えたタイミングで太一が3人と3体に声をかける。
はーい、ってみんなでいい子の返事をしてまずは腹ごしらえを済ませてしまおうと、太一達の下へと走った。
きぃん、という空気が擦れるような音を置き去りにして、纏わりついた雲を巻き込み、白い線を描きながら飛び出していった。
綿菓子のような入道雲が、空に浮かんでいる。
あれがもっと大きくなると雷雲になる
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