ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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ちょっとだけ痛みが走ったが、男の子に混じってサッカーをしている空は、スライディングなんて日常茶飯事である。
このぐらい平気だ、それよりもピヨモンが。
うう、って痛みを堪えて顔を上げたピヨモンは、空を見るなり満面の笑みを浮かべた。
『……ソラ、アタシのこと、助けに来てくれた?』
「当たり前じゃない!全く、無茶して!怪我はしてない?何処も痛くない?」
『うふふ、平気だよ!ソラ、ありがとう!』
何処も怪我をしていないと分かった空は、安堵の息を漏らしながらピヨモンを抱き上げ、頬ずりをする。
思っても見なかった反応で、ピヨモンは嬉しくて嬉しくて空にしがみ付くように抱き着いた。
だが、まだ危機は去っていない。
凶悪な敵意を感じたピヨモンは、上を見る。
メラモンの手の平に、大人の拳ほどの炎の塊が浮かんでいる。
危ない、とピヨモンは空の庇護を飛び出して、メラモンに向かって飛んでいった。
『マジカルファイヤー!!』
空を傷付けさせまいと、ピヨモンは緑に渦巻く炎をメラモンに浴びせた。
それは確かに直撃したのだが、メラモンは唸り声を上げただけで、ダメージを負っているようには見えない。
『くっ……!マジカルファイヤー!マジカルファイヤー!』
それでも、ピヨモンは空を護るために技を何度も繰り出し、メラモンを攻撃する。
全く堪える様子のないメラモンは、悪意に満ちた笑みをピヨモンに向けた。
あのままではピヨモンが危ない、と他のデジモン達も船から降りてピヨモンに加勢しようとした。
「……っ!!」
それを、船主で見ていた大輔とヒカリと賢。ぞくりとしたものが背中を這った気がして、ミミにしがみ付く力を強めた。
3人とも、顔が真っ青である。
様子がおかしいことに気づいてくれたのは、彼らのパートナーだけだった。
『バーニングフィスト!』
掌に浮かんでいた火の玉が凝縮され、サッカーボールほどの大きさになったものを、メラモンがピヨモンに投げつける。
上手く飛べないピヨモンは、回避することが出来ずにまともに食らってしまった。
ピヨモン!と空の悲痛な声がこだまする。
「よくもピヨモンを……!アグモン、やっちまえ!」
「テントモン!お願いします!」
「ガブモン、頼んだ!」
駆けつけた太一、光子郎、そして治が、それぞれのパートナーに声をかける。
任せろと言わんばかりにアグモン達は必殺技を繰り出したが……。
「……なっ、何だぁ!?」
素っ頓狂な声を上げたのは、船主で戦いを見守っていた丈だった。
彼のパートナーであるゴマモンは、水中戦なら負けなしだが、陸の上では無力に等しい。
駆けつけても足手まといにしかならないのは目に見えていたので、光子郎の代わりに船主に上がってきたのだが、メ
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