ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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るぅううう!!』
ピョコモンの村からミハラシ山までだいぶ距離があるにも関わらず、メラモンの声が轟いている。
『燃えている!!燃えているぅ!俺は!!今!!燃えているんだぜぇええええ!!』
そんなことを叫びながら、メラモンは山を駆け下りてくる。
噴水と、井戸と、そして山の頂上から火柱が立ち上がっているだけでも大参事だったというのに、そのミハラシ山の手前にある森までオレンジ色に染まってしまった。
文字通り燃えているメラモンの身体が、森を駆け抜ける度に樹々に燃え移っている。
目の前で繰り広げられている光景が信じられなくて、子ども達はその場で唖然と立ち尽くすことしか出来ない。
『俺は燃えてる!燃えてる!燃えてるぜぇえええ!』
立ち昇る炎と黒煙。咆哮のような、悲鳴のような叫び声。
山を駆け下りていたオレンジ色の点は森の中に消え、そして絶叫と共に森の奥からその姿を現した。
燃え盛る森をバックに、電柱が建ち並ぶ砂漠のエリアへと足を踏み入れたそのオレンジ色は、真っ直ぐここを目指して疾走している。
砂漠から立ちこめる蜃気楼が、周りの景色を、そして疾走するメラモンを歪めて、一層不気味だった。
「……みんな……」
迫りくるメラモンを前に、真っ先に我に返ったのは太一だった。
「逃げろぉおおおおおお!!」
太一の怒鳴り声で、同じく我に返った子ども達は、ピョコモン達とともに一斉に逃げ出した。
小さな村がピンク色と青で埋め尽くされるほどの数のピョコモン達を踏み潰さないように、子ども達は村の中心を目指して走る。
すっかり干上がってしまった湖の真ん中に、半分ほどが埋められてしまった船体に空いた穴を通じて、ピョコモン達は船の中へと逃げ込んだ。
太一と空が慌てるピョコモン達を落ち着かせるように声をかけながら、ピョコモン達を誘導している。
中に入って、上へと通じる階段付近に治と丈、光子郎とミミは下級生3人を連れてピョコモン達と共にデッキへと上がっていた。
船主が空を見上げるように傾いているせいで、子ども達やパートナー達には少々登りにくかったが、ピョコモンの足には吸盤がついているようで、ぷきゅ、ぷきゅ、という場違いな音が響いている。
なるべく沢山のピョコモン達がデッキに逃げられるように、隙間なく詰めるように光子郎もピョコモン達を頑張って先導した。
光子郎と一緒に先に逃げていたミミは、恐怖でしがみ付いてくる下級生3人を宥めるのに必死だった。
仕切りに、大丈夫だから、怖がらないでって声をかけているのが、光子郎の耳に微かに届いた。
ピンク色のカーペットのように密集したピョコモン達の数は、一向に減る様子を見せない。
船体の半分が地面に埋もれている船に、途切れる様子のないピンクのカーペットが総て収まるのか、
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