暁 〜小説投稿サイト〜
ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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わーん、って嘆くミミを宥めようと1体のピョコモンが村の中心を指した。
太一がこの村を見つけた時に見た、船が半分ほど沈没していた池のことだ。
ピョコモン達がこっちーって先導する後をついていった子ども達だったが、そこで更なる絶望を味わうことになる。

『……あぁああああああああ!!みずがないぃー!』

悲鳴にも似た叫び声を上げたピョコモン達。水なんか、何処にもなかった。
そこにあったのは、大きな窪みの中心に佇んでいる傾いた船体だった。
長年水に晒されていたせいで、遠目から見ても船体が錆びついているのが分かった。
下を覗き込めば、結構な深さがあることが分かる。
水も何千リットルという単位で溜まっていたのだろう、と言うぐらいの深さだから、その水が一瞬にして無くなってしまうなんて、まずあり得ない。
ならばとピョコモン達は、今度は井戸を案内した。
太一はロープに括りつけられた桶を放り投げるように井戸に落とす。
ロープが桶の重さに引っ張られて勢いよく落ちていくが、やがてボッと言う謎の音がしてロープが止まった。
何の音だ、と慌てて引きあげてみるが、異様に軽い。
それもそのはず、ロープの先はプスプスという音を立てて焦げており、桶は跡形もなく無くなっていたのだから。
直後に、井戸から噴水の時と同じような火柱が立った。
これはいよいよもっておかしい、と子ども達の心が1つになった時、1体のピョコモンがミハラシ山に何かが落ちていくのを見たと教えてくれた。
方角的に、先程子ども達が見た黒い歯車のことだろうというのは、すぐに推測できた。
だがそれが何だと言うのか、という空の疑問に、別のピョコモンが答えてくれる。

『このあたりはすべてみはらしやまのいずみがすいげんなの!だからみはらしやまになにかあったら、みずはぜんぶひあがっちゃう!』

でも、とピョコモン達は続ける。

『みはらしやまにはメラモンがいるの!』
『みはらしやまはメラモンがまもってくれてるはずなの!』

黒い歯車が落ちていき、そして水が干上がった。
これはミハラシ山か、メラモンに何かあったと考えるのが妥当だろう。
太一は再び単眼鏡を取り出し、ミハラシ山を覗き込む。
ほぼ同時に、渦を巻いている山の頂上が燃え上がり、その中から火の粉のように小さく燃えているものが飛び出して、ミハラシ山を駆け下りていくように見えた。
もっとズームにしてみると、その姿がはっきりと見えた。
全身が燃え盛る炎のようになっている、デジモンだった。
名前から推測するに、あれがメラモンだろう。
そのメラモンが、山から下りてきていることに、ピョコモンが驚いている。
どうやらメラモンは滅多に山から下りてこないらしい。
いつものメラモンじゃない、とピョコモン達が狼狽えていた。

『燃えてい
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