ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
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拶をした。
何処まで行っても何も見えてこない砂漠と、そろそろ限界を迎えてきた下級生の様子に、空が怒鳴ったことで言いそびれた治が、太一に進言したのがきっかけであった。
このまま進んでも、体力と水分を悪戯に奪われるだけ、こんなところで全員倒れてしまったら元も子もない。
すると太一はポケットに突っ込んでいた単眼鏡を取り出し、覗き込んだ。
側面についているダイヤルを弄れば、景色がズームされる。
そこに、村があった。そのあたりにだけ緑が覆い茂っていて、しかも湖が見えたと言うのだ。
これは行かない手はないだろう。どんなデジモンが住んでいるのかは分からないが、今は藁にも縋る思いなのだ。
喉も乾いたしお腹もすいたし、上手くいけば1泊ぐらい出来るかもしれない。
そんな期待を込めて、子ども達は最後の気力を振り絞って、太一が見えた村へと向かった。
その結果が、“コレ”である。
「……見知ったデジモンがいることに喜べばいいのか、結局人間がいなかったことに絶望すればいいのか……」
『ジョウ、何処見てんの?』
目から光が失われた丈を心配するのは、最早ゴマモンだけだ。
最年長が故に、未だに人間がいる可能性を捨てきれない丈は、この際無視するとして、子ども達はどうしたものかと顔を見合わせる。
突如としてやってきた訪問者に対して、ピョコモン達は怯えたり怖がったりする様子は見せていない。
それどころか、これ何?これ何?成長期のデジモンもいる!何?何?って感じで、好奇心旺盛に小屋から出てきた。
とりあえず歓迎はされているようだ、と言うことで子ども達は小さく息を吐く。
『ねぇねぇ!なんていうデジモン?』
ピョコモンの1匹がじーっと空を見つめながら尋ねてくる。
へ?って間抜けな声を出してしまった空だったが、デジモン達曰く、ここに人間はいないから、ピョコモン達が人間を知らないのは当たり前だった。
『うふふ、ソラ達はデジモンじゃないわ。人間っていうの』
空が否定する前に、ピヨモンがちょっとだけ胸を張って、ピョコモン達に教えてやる。
『ニンゲン?』
『デジモンじゃないの?』
ピョコモン達が一斉に、そしてバラバラなことを訪ねてくるものだから、その場は大混乱である。
収集がつかなくなったから、ピョコモンの相手はピヨモンに押し付けることにした。
ごめんね、ピヨモン。
「賢くん、どう?」
「うーん……ダメみたい」
「そっかぁ……」
最年少組が、何とか入れないかと頑張ってみたけれど、1番小さい賢でも、入り口に顔を突っ込むことはできたが、身体を入れることは出来なかった。
何もかもがピョコモンサイズで、まるで自分達が大きくなったような錯覚に陥る。
ガリバー旅行記みたい、とミミが嬉しそうに言っていたが、何のことだろう。
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