ちいさなしまのおはなし
不死鳥は天(そら)に煌めいて
[2/19]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んだから日本語で挨拶しろ、って言ってくるのに、優しい先輩である。
太一が全然優しくない、と言っている訳では決してない。
空がきっかけになったかのように、他の子ども達も次々と目を覚ます。
まだ覚醒しきれていない脳と、しぱしぱする目。顔を洗いたいところだが、つい数時間ほど前に撃退したシードラモンがいる湖である。
近付いて覗き込む勇気がどうしても湧いてこなかったが、デジモン達が気にせず湖に近寄っていったので、大丈夫かしらん?と恐る恐る、そして素早く顔を洗って湖を離れた。
ご飯食べたら出発しようぜ、って太一が音頭を取り、子ども達は自分達が持ってきた荷物をチェックする。
デジモン達は昼食と呼ぶべき朝食を調達しに行った。
『………………』
「……Good Morning」
最後に目を覚ましたのは、ブイモンである。
大輔の隣で、身体をぎゅっと丸めて擦り寄るように眠っていたブイモンの目元は、少し腫れていた。
後で聞いたのだが、アグモン達が太一達に説明するためにプロットモンとパタモンだけを残して離れていた際、声を押し殺して泣いていたらしいのだ。
アグモン達は普段からブイモンに触らないように気を使ってくれていたけれど、太一達はそのことを知らなかったし、話してもいなかった。
ちゃんと、言おうとは思っていたのだ。だって誰かに触れられるのが怖くて堪らない、なんて重大案件である。
大輔はともかく、他の子ども達がそうそうブイモンに触れる機会なぞないだろうけれど、それでも出会った時に真っ先に伝えておかなけれなならないような内容なのに、何故ブイモンは黙っていたのだろうか。
『……その……嫌われたくなかったから……』
最初に見せてくれた、あのやんちゃ坊主っぷりは何処へ行ったのかと疑うほどに、今大輔の目の前にいるブイモンは、しょんぼりとしていた。
先輩達が忙しなく動いていると、大輔は小さいながらも何か自分に出来ることはないかって、いつもは率先して聞き回っているのだが、今は優先すべきことがある。
ブイモンに昨日のことを問いただすことだ。
どうして、大事なことだったのに言ってくれなかったのか。
ずっと待っていたって、ずっとずっと待っていたんだって言っていたのに、ダイスケダイスケって名前を呼んでひっついてきていたのに、どうしてそんな重要なことを黙っていたのか。
周りにいる先輩達も、大輔の問いただす言葉が聞こえたからか、何も言ってこない。
プロットモンとパタモンに加え、拒否されなかったもう2人の人間であるヒカリと賢も、気になって仕方ないようで、大輔の両隣に座ってブイモンを見つめていた。
3人からの圧がすごくて、これは逃げられる状況ではないと判断したブイモンは、それでも何と言ったものかと考えあぐねて、ようやく絞り出した言葉が上記の台詞で
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ