入部編
3話 いやー凄いねー、さっきの球
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「いやいや、そんな事ないってー。あんな球、初めて見たよー」
私はね、と正美は心の中で付け加えた。
トボトボ歩く詠深と一緒にベンチへと向かう。
「正美ちゃん凄いよ〜。いきなり詠深ちゃんからヒット打つなんて」
芳乃は正美の横から抱きつき、ピョンピョン跳ねる。
「??????制服が汚れちゃうよ〜」
正美は芳乃のスキンシップを1日で諦めていた。
そうこうしている内に新越谷ナイン全員がベンチへと引き上げてくる。みんな口々に正美を称賛した。
「三輪さえ良ければ是非、入部して欲しい」
あまり乗り気でないことを聞いていた部長の怜は正美を引き留めようとする。
正美の後ろから詠深がのしかかるように抱き付いてきた。
「勝ち逃げは許さないよ〜」
――あ、この娘も芳野ちゃんと同じタイプだ。
「一緒に野球やろ」
芳乃は正美の手を両手で握る。
「??????しょうがないなー」
詠深との勝負で柄にもなくスイッチが入ったのも事実だ。
後ろの詠深を下ろすと、正美はナイン全員が見える位置に移動した。
「1年の三輪 正美です。全ポジション一通り守れます。しっかりベンチを温めておきますので、代走から終盤の守備位置調整などなど便利に使っちゃってください」
なんといきなり補欠宣言をする正美。そんな彼女に芳乃は不満を漏らす。
「えー。正美ちゃんは文句なしのスタメンだよー」
「そうだよ。詠深の魔球を打てるんだからベンチに居たら勿体ないよ」
稜はそう言うが、正美はにへら顔になる。
「良いのかなー。ショートのポジション奪っちゃうよー?」
低身長の正美がしたから除き込むように言うと、稜の表情は絶望に染まった。
「うそうそ。駄目だよーみんな、人を頼っちゃ。自分の力を信じて敵に立ち向かわないとー。私は控え。ね?」
かくして正美は野球部への入部を決めたのだった。
この時、正美に対し、あまり良い感情を抱いていない者がいたことに、本人以外、気付く事は無かった。
夢を見ている。目の前には私のものではない記憶の持ち主が立っている。
「初めまして、正美ちゃん」
「はいー。おじさんも初めまして。
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