ちいさなしまのおはなし
月夜に奔る蒼狼
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塊はシードラモンに命中するが、顔を顰める程度で大したダメージには至っていない。
『ポイズンアイビー!』
パルモンが伸ばした蔓は、届きもしなかった。
テントモンがシードラモンの顔の位置まで飛び、羽を高速で動かして静電気を起こす。
『プチサンダー!』
だが硬い皮膚は静電気程度の電撃など、通すことはない。
『ベビーフレイム!』
アグモンが吐き出した炎の弾も、シードラモンの顔に直撃したが、弾かれてしまった。
『パピーハウリング!』
辺り一帯にプロットモンの超音波が響く。
子ども達は耳を塞いだが、シードラモンを怯ませることは出来なかった。
「くっそ!アグモン!進化だ!進化しろ!」
どれも通用しないと分かった太一は、最後の頼みの綱であるパートナーに、進化を促してみるが、アグモンは困ったような表情で無理だと告げた。
『さっきっからやろうとしてるんだけど、出来ないんだ!』
「何でだよ!」
『だからボクにも分かんないんだって!』
昼間のようにグレイモンになってくれれば、シードラモンを退けることが出来るかもしれない。
だがアグモンが幾ら踏ん張っても、進化の兆候など全く見られなかった。
コロモンがアグモンになった際も、進化をした原理はよく分からないとデジモン達も言っていたし、何か条件があるのだろうけれど、こんな時に条件が何なのかという推理をする暇はない。
このままでは怒り狂ったシードラモンに、全員やられてしまうのだ。
どうすれば、どうすれば……。
「うわああああ!!」
「!賢!?」
再び島が揺れる。上級生達によってシードラモンから遠ざけられていた下級生達は、島の隅のほうにいた。そのせいで、バランスを崩した賢が湖に落ちたのだ。
ばしゃああん、という音を立てて賢の姿が湖に消える。
すかさずゴマモンが飛び込んで賢の救助に向かった。
真っ青になった治は太一が止めるのも聞かず、見事な飛び込みを披露して賢の下へ急いで泳いだ。
ガブモンも後を追う。すでにゴマモンが背に乗せて救助した後だった。
「済まない、ゴマモン」
『いいってことよ』
ゴマモンはそのまま小島に上がっていった。
だが治はそれだけでは安心できなかったのか、あろうことかこっちだと叫びながら小島から離れていったではないか。
「何やってんだ、治!?早く上がって来い!!」
『オサム、待って!何処行くの!?』
「お兄ちゃん!!」
太一の怒声、ガブモンと賢の焦り声。
『オサムゥ!シードラモンがそっちに向かってまっせ!』
テントモンが叫ぶ。標的を治に変えたシードラモンが、長い身体をもたげながら治に襲い掛かろうとした。
『危ない!プチファイヤー!!』
すかさずガブモンが青い炎を吐き出
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