ちいさなしまのおはなし
月夜に奔る蒼狼
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は思っていたけれど、まさかそれが“触れられることを怖がっている”からだなんて、大輔は夢にも思わなかった。
だって大輔には自分からくっついてきてたし(初めて会った時なんか大輔の顔にべちゃっと張り付いてきた)、パルモンが伸ばした蔓に飛び乗ってクワガーモンに踵落としをお見舞いしていたし。
『自分から触る分には平気みたいなんだけどね』
『それこそ不思議よねぇ』
ガブモンとパルモンが顔を見合わせて、そう言った。
触るのは平気だが、触られるのがダメ、とは確かに奇妙ではある。
何にせよ、
「……悪いことしちまったなぁ」
太一が頭をかきながら、本当に申し訳なさそうに項垂れる。
「……知らなかったんだから、仕方ないんじゃないか?」
『そうだよ、言わなかったオレ達も悪いんだから……』
「それでも……やっぱ気は引けちまうよ」
治とガブモンがフォローを入れるも、太一は首を横に振り、知っていたら、あんなことしなかったのになぁ、って悔しそうに呟いた。
白い手袋をはめた両手を、胡坐をかいた膝の上でぎゅっと握りしめている。
タイチ、ってアグモンが眉を垂れ下げながらパートナーの名を紡いだ。
無神経ながらも、自分が悪いと思ったらそれを素直に認めることが出来るのだ、太一という男の子は。
ちゃんとごめんなさいが素直に言える子なのだ。
こういうところがすごいなあって、治はいつも思っている。
──自分には、絶対にできないことだ。自分は持っていないものだ。
「よし、理由は分かった。これからは気を付けるよ」
『うん。そうしてあげて』
『ワテらも、すんまへんなぁ』
「いえ、これはこれでなかなかデリケートな話題ですし、しにくかったのは仕方ないと思いますよ」
触るのは平気でも、触られるのは無理だと言うのは、なかなか理解されにくいものだろうから、デジモン達が言い出しにくかったのも無理はない。
欧米人と違って、日本人である子ども達は必要以上にべたべたしたり、触れ合ったりすることが少ないから、尚更気づいてやれなかった。
先程のはただ太一のキャパシティーがちょっとぶっ壊れそうになったから、軌道修正するためにちょっとふざけちゃっただけなのだ。
「………………」
「……大輔くん」
大輔の様子に気づいた賢とヒカリは、気づかわし気に声をかける。
ぎゅっと唇を真一文字に結び、両手で拳を握りしめ、顔を俯かせていた。
大輔は優しい子だから、きっとブイモンが抱えていたことに気づいてやれなかった自分を、ふがいなく思っているのだろう。
何と声をかけたものか、と考えあぐねるヒカリは、固く握りしめられている大輔の手に、自分の手を重ねてやることしか出来ない。
賢も、指をもじもじさせながら何度か口を開いてはすぐに閉じる、という行為を繰り返し
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