ちいさなしまのおはなし
月夜に奔る蒼狼
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頃、みんなで身を寄せ合って力を合わせて生きてきた。
いつか必ず出会えるパートナーが来るのを信じながら。
気が付いた時にはみんな一緒にいたから、いつから待っていたのか、その記憶は定かではない。
ただ……もうその頃からブイモンは、チビモンは他の誰かに触られることを拒絶していたらしい。
少しでも触れれば先程のような悲鳴を上げて、がっちがちに震えて、わんわん泣くそうなのだ。
だからみんな、なるべくチビモンには触れないようにしていた。
触れさえしなければ、チビモンはいつも通りだったからだ。
「……そうだったの」
空が悲しそうな、辛そうな表情を浮かべて、ブイモンとプロットモンとパタモンがいる方に視線を向ける。
もう、ブイモンは蹲ってはいなかった。
こちらからは背中しか見えなかったが、プロットモンがブイモンの顔を覗き込んで、パタモンが背中を擦っているのが見える。
…………あれ?
「パタモン、普通に触ってますけど……」
『ああ、それなぁ。何でか知らんけど、プロットモンとパタモンは平気みたいなんですわ』
「……何で?」
『知りまへんて』
曰く、他のデジモン達はダメなのだが、プロットモンとパタモンはニャロモンとトコモンだったときから、何故か触れても硬直したり泣いたりすることがなかったらしい。
何で?何で?ってデジモン達は不思議がっていたが、ブイモンも何でか分からないので、解明しようがないのだ。
それを聞いて、うーん?と首を傾げ、はいって手を挙げたのは賢とヒカリだ。
「じゃあ、ヒカリから」
「はい。えっと、お昼ここに来たばっかの時に、クワガーモンに追いかけられて、転んだ時なんですけど。私、転んだブイモン……チビモンを抱っこしたんです」
でも、
「その時のチビモン、びくってなったけど、泣いたり叫んだりはしなかったよ?」
『え?そうなの』
ヒカリの言葉に、デジモン達も目を丸くした。
あの時はみんなで逃げることだけに集中していたから、デジモン達は誰もそのことに気づいていなかった。
「じゃ、次。賢」
「うん!あのね、ご飯の時、大輔くんとヒカリちゃんは果物とってくる係りだったでしょ?僕、自分の当番が終わったから大輔くん達のお手伝いしようと思って、大輔くん達のところに行ったんだ。でね、大輔くんとブイモンが持ってた、果物がいっぱい乗った葉っぱを支えてあげようと思って持った時に、ブイモンの手を触っちゃったんだ」
「……それで、どうなったんだ?」
「……ブイモンの奴、賢の手を振り払ったんです。でも、叫んだり泣いたりはしなかった……」
賢の言葉に、大輔が補足するように呟いた。
そう、あの時ブイモンはとても怯えた表情を浮かべてはいたが、悲鳴を上げることはなかった。
ビックリしただけにしては大袈裟だと
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