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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
月夜に奔る蒼狼
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うに言えば、ピヨモンが初めて気づいてごめんなさいって頭を下げた。

『そうだった。そうだったわね、ソラ。ごめんなさい。もっと早くに言っていればよかったわ』
『仕方ないんとちゃいまっか?ダイスケはんは平気やったみたいやし、ワテらが勝手にいう訳にもいかんやろし……』
『それも含めてちゃんと話そう?パタモン、プロットモン、ブイモンのことお願いね』
『分かってるわよ』
『ダイスケ達も、ここは僕らに任せて、ピヨモン達から聞いて?多分……ブイモンは言いたくないだろうから』
「……分かった」

物凄く納得がいかない、って顔をしているけれど、可哀想なぐらいぶるぶる震えているブイモンを見ちゃったら、大輔は何も言えない。
ヒカリと賢に促され、大輔は先に行った先輩達の後を追う。
みんな薪の周りに集まっていた。

「……えっと、まずは状況整理ですね。大輔くん、さっき聞こえた悲鳴は、ブイモンので間違いないですか?」

最年少3人が座ったのを見計らい、光子郎が尋ねる。
こくん、と大輔は頷いた。

「どうしてなのか、聞いてもいいかい?」
「……え、と、まず俺、変な夢見ちゃって……」

大輔は話す。こうなるまでに至った経緯を。
顔を洗おうと思っただけだったのだ。夢見が悪くて、でもそれがどんな夢なのか思い出せなくてむしゃくしゃして、顔を洗ってすっきりしたかっただけだったのだ。
一緒に顔を洗いに行ったブイモンが、とっても深刻な表情で自分の右手の甲を見つめていて、どうしたのって聞いてもブイモンは答えてくれなかった。
何度も何度も大輔から目を逸らして、忙しなく右手の甲を擦って、それで……。

「……太一が来た、ってわけ?」
「はい……」

はあ、と空は溜息を吐きながら太一を見やった。
たはは、と苦笑しながら頭をかく太一。無鉄砲ながらに周りをよく見ている太一だが、如何せん空気が読めないところがある。
大輔とブイモンが大事な話をしている、ということも、恐らく見えていなかったのだろう。
多分、本人はちょっとじゃれたら早く寝ろよって言うつもりだったに違いない。


お気に入りの後輩と豪語している大輔には、よく男兄弟のノリで構ってやっていることがある。
大輔の兄弟はお姉ちゃんだから、男の子の遊びはあんまりしてもらえない。
逆に太一の兄弟はヒカリという妹だから、男の子の遊びは誘いにくい。
結果的に妹と同い年で、太一さん太一さんって慕ってくる大輔を男兄弟のように扱うのだ。
少々乱暴に、雑に、でもきちんと手加減して。
ヒカリちゃん相手じゃ絶対しないことを、お姉ちゃんが絶対してくれないことを、お互いにやって、じゃれ合っているのである。
勿論太一にとっての兄弟はヒカリだけだし、大輔もまた然りだから、飽くまでも“兄弟ごっこ”だ。
それを
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