ちいさなしまのおはなし
月夜に奔る蒼狼
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き出しながら、敗北を認めるように水中へと消えていった。
ガルルモンの身体が光に包まれ、ガブモンに戻ったことで、子ども達は脅威が去ったことを悟るのだった。
『ふえ〜……』
「ガブモン!!」
何とか小島に戻ったガブモンは、言うまでもなくへとへとに疲れ切っていた。
太一と空に介抱されていた治は、2人を押しのけるようにガブモンの下へと急ぐ。
『あ……オサム……よかった……』
「莫迦!僕よりお前だろう!怪我は?痛いところはないか?地面に思いっきり叩きつけられてただろう?」
『なっ、オ、オサムこそ!シードラモンに絞めつけられてたんだよ!?ちゃんと休んでなきゃ……!』
「このぐらい何ともない!サッカー部で怪我なんか日常茶飯事だったんだ!慣れっこさ!」
『“さっかーぶ”が何なのかよく分かんないけど、だからって……!』
「あーもう!どっちもどっちでしょう!2人とも大人しくしなさい!」
お互いを思いやるあまり、どんどんヒートアップしていきそうなのを察した空が、2人の言い合いを阻止する。
我に返った2人は、他の子ども達から見られていることに気づいて、恥ずかしそうに苦笑した。
「お兄ちゃん!」
「!賢……」
「ごめんなさい、お兄ちゃん!僕のせいで……!」
ガブモンと言い合いを始めてしまったことで出遅れた賢だったが、空に強制終了されたのを見計らい、兄に駆け寄って抱き着いた。
涙をボロボロ流して謝罪する賢に、大丈夫だよって苦笑しながら頭を撫でてやる。
「お前のせいだなんて思ってないから。賢が無事でよかったよ」
「お゛に゛い゛ぢゃあ゛ん゛」
「あーあー、もう、涙と鼻水でぐしゃぐしゃじゃないか。しょうがないなぁ、賢は」
うえーんて泣く賢に、込み上げる笑いが抑えきれない治は、空が貸してくれたハンカチで顔を拭ってやる。
ずび、って鼻水を啜り、ふんわりと笑って賢を見下ろしている治に、もう一度ごめんなさいをして、それからガブモンに向き直った。
「ガブモン、ありがとうね。お兄ちゃんを助けてくれて」
『え……い、いやぁ……』
『あー、ガブモン照れてるー』
『パ、パタモン!』
そんなやり取りが微笑ましくて、子ども達はようやく笑った。
……2人の兄弟を、羨ましそうな目で見つめる大輔に気づいてくれたのは、ブイモンだけだった。
『……?ダイ、』
「あ、ところでどうやって岸に上がるんだい?」
大輔の名を呼ぼうとしたブイモンだったが、丈の声に遮られてしまう。
おいらに任せて!ってゴマモンが湖に飛び込んだ。
湖の主は暫く現れないだろうから、安心して技名を叫ぶ。
魚釣りをしていた時には全く姿を見せなかったカラフルな魚が、大量に姿を現し、ビチビチという音を立てながら水面を跳ねて、小島を岸まで押して行
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