ちいさなしまのおはなし
月夜に奔る蒼狼
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あった。
強靭な前足の爪をシードラモンの固い皮膚に食い込ませ、鋭く尖った牙はシードラモンを食い破ろうとしている。
溜まらず咆哮を挙げるシードラモン。
身体の差は相変わらずあるものの、ガブモンだったときとは比べ物にならないほどの勇敢さと力強さで、シードラモンに噛みついていた。
すごい、と呟いたのは、誰だったか。
噛みつかれた箇所に激痛が走ったシードラモンは、怒りに任せてガルルモンを尻尾で振り払った。
吹っ飛ばされ、湖に落ちたガルルモンに、子ども達はああ、と悲鳴を上げた。
湖に落ちたガルルモンに、更に追い打ちをかけるように尻尾を叩きつける。
凄まじい勢いで湖の底まで沈むガルルモン。
シードラモンは、息苦しさですぐに浮上してくるであろうガルルモンを狙って、水面を睨み付けている。
ぶくぶくと、水の中から泡が浮かんできた。
水面から顔を出したガルルモンは、シードラモンに背を向けて泳ぐ。
大きく口を開けて襲い掛かるシードラモンの目に、ガルルモンの尻尾の先が突き刺さった。
目玉を抉ることはなかったものの、どんな生き物も鍛えることは出来ない弱点である目を狙われてはシードラモンも堪らない。
水中に適した身体を持つシードラモンから、端から泳いで逃げられるとは思っていなかったガルルモンは、それを狙ったのだろう。
咆哮を挙げるシードラモンの横を悠々と泳いで、距離を取った。
最後のあがきとばかりに尻尾でガルルモンを攻撃しようとしたが、テントモン曰く伝説の金属「ミスリル」並に強い毛皮を持つガルルモンの身体を、傷付けることは叶わなかった。
《ギシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!》
これが決定打となり、怒りが頂点に達したシードラモンは喉の奥で冷気を作り出し、一気に吐き出す。
急激に冷やされた空気中の水分が、シードラモンが吐いた冷気の息で氷柱の雨となり、ガルルモンに降り注がれる。
みるみる凍っていくガルルモンの身体と、水面。
だが進化したガルルモンは、そんなものでやられるほど柔ではなかった。
ぎらり、と黄色い目でシードラモンを睨み付けると、気迫だけで氷を引き剥がし、大きく口を開いて青い炎の筋を吐き出したのだ。
『フォックスファイヤー!!』
シードラモンが吐き出した冷気によってつくられた氷柱の雨を飲み込み、溶かす。
伸びた炎の筋はシードラモンの顔に直撃し、アグモン達の攻撃ではびくともしなかったシードラモンは、余りの熱量と攻撃力の高さでのけ反った。
ばしゃーん、と水飛沫を上げながらシードラモンの長い身体が水面に叩きつけられる。
燻った炎は水によって消えてしまったが、シードラモンの身体から発せられている灰色の煙から、その凄まじい炎の威力が伺えた。
全身に大やけどを負ったシードラモンは、口から煙を吐
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ