第五十九話
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状況でアレだけど、このまま私達は本能寺に向かうわ。
大変だろうけど頑張ってよ? 君がヘタレてると、うちの政宗様が機嫌悪くなるんだから」
「う……そ、そうでござるな……」
……本当、大丈夫なのかしら、この子ったら。なーんか心配になってくるなぁ……。
「それじゃ、情報ありがとう。次会う時は、もう少し元気な顔を見たいわね。
幸村君に、そういう暗い顔は似合わないよ? 元気で暑苦しいのが幸村君じゃん」
そう言って踵を返した私を幸村君が呼び止める。
「小夜殿! 今、奥州は大変な事になっていると聞く……何故、貴殿が調査に奥州を出られた。
政宗殿や片倉殿の側におるべきではないのでござろうか」
おおっと、その質問が来ましたか。さてさて、どう答えてやるべきかね。
ま、確かに幸村君の言うことも分からなくはないけれどもさ。
「政宗様には小十郎がいる。だから私は必要ない。
……小十郎は、自分ひとりできちんと答えが出せるから、私が側にいたらいけないのよ。
迷って悩んで苦しんで……それで小十郎は自分の生き方を決めなければならない。
一度犯した失敗を、二度と繰り返さない為にはどうしたらいいのか。
……私が側にいれば、その結論を導き出すのが遅くなる。そう思ったから、調査に出たのよ」
まぁ、ストーリー云々の話は出来ないから、話せる理由としてはこんなところか。
……でも、本当のことを言えば、手を差し伸べそうになるのを耐えられないと思ったから出てきた。
小十郎の手を引いて歩く役目はとうに終えている。だって、もう小十郎は小さな子供じゃないもの。
あの子は竜の右目だから政宗様の側で自分で考えて決めて、行動しなければならない。
そうしなければならない以上、側にいたらあの子を駄目にしてしまう。
「それで、片倉殿が」
「小十郎なら大丈夫! そう、私は信じてる。
……私があの子の為に本当に動く時は、あの子が私に助けを求めた時よ。
まぁ、今の今まで一度も助けなんか求められたことはないんだけどね」
近所の子供達に苛められてる時だって、助けてとは一言も言わなかった。
一人で泣いてても、私に助けを求めることは無かった。それは今でも変わらない。
……寂しくはあるけど、小十郎は今はいろんな人に受け入れられてる。だからもう、私が進んで手を貸す必要は無い。
「幸村君も、こんな事態になって大変なのは分かるよ。戸惑うのもね。
でも、悩んで迷って苦しんで立ち止まっちゃうようなら、まずは心に従って行動してみたら?」
「心、でござるか?」
「そう。幸村君が御屋形様と一緒に培ってきたものが、心に刻まれてるでしょ?
それがはっきりと形になって現れなくても……幸村君を動かす原動力には
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