第15話 アムリッツァ前哨戦
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戦闘によって我々に疲労と消耗を強いることだ。ただでさえ我々は食糧難に苦しみ、物資も窮乏している。しかも既にケンプ艦隊と一戦交えた後だ。このままではそう長くは持たないだろう。フィッシャー少将、艦隊をU字型に再編してもらいたい」
「U字型?」
「そうだ、そこに敵を誘い込み三方向から一気に反撃し、敵が怯んだ隙をついて急速反転離脱を図る」
「なるほど」
「これしかない。もっとも、敵が乗ってくればの話だが」
ハプスブルク上級大将と言えば、第三次ティアマト会戦ではローエングラム伯と共に同盟軍に煮え湯を飲ませ、第四次ティアマト会戦でもこちらの攻勢に対し粘り強く隙のない防戦で崩れることなく対処していた。また、ワルキューレ投入のタイミングも絶妙だった。
そんな人物がこちらの策に簡単に乗ってくれるとは思えない。
だが、今のところそれ以外に策は無い……。
<アドルフ>
「敵は艦隊をU字型にしつつあります」
これって確かあれだよな……U字の中に誘い込んでボッコにするってやつ。
「敵の罠だ、乗ることは無い。長距離からの砲撃に終始しろ」
* * *
イゼルローン要塞では、ようやく昼寝から目を覚ましたロボス元帥がグリーンヒル大将より戦況報告を受けていた。
「ロボス閣下、既に第三、第七艦隊が通信途絶。第九艦隊のアル・サレム中将は重傷、第十艦隊のウランフ中将は戦死。両艦隊とも半数以上を失ったとの報告が入っております。第五、第八、第十二艦隊は辛うじて敵の追撃を振り切った模様ですが、やはり3割近い犠牲を出しております。ヤン中将の第十三艦隊は健在ですが、ドヴェルグ星域で足止めを受けて既に8時間が経ちました。我々は敵の策に乗せられたのです。今は一刻も早くイゼルローン要塞まで撤退させるべきです。閣下、ご決断を」
「………兵力の再編成を行う。全軍をアムリッツァ恒星系に終結させよ」
「閣下!」
「このまま引き下がるわけにはいかんのだ。全軍アムリッツァに終結! これは命令である!」
――ドヴェルグ星域――
「簡単に言ってくれるものだな」
総司令部からの無茶ぶりに、ヤンは顔を顰めながら呟いた。
「ですが、やらねば敵中に孤立することになります」
「はあ……そうだな。やむを得ないか」
第十三艦隊は半ば強引に戦線から離脱する。
「どうしたんでしょう、敵は?」
「おそらく急な撤退命令でも出たんだろう。やれやれ、ようやく落ち着いてエロ本が読める」
帝国領各地で同盟軍は敗北し、残存の部隊は恒星アムリッツァに集結。
戦いの舞台はアムリッツァ星域へと移っていった。
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