第15話 アムリッツァ前哨戦
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の艦隊運動に合わせるのだ」
このケンプの判断は間違ってはいない。
が、この場合は艦隊運動の名人であるフィッシャーがいる第十三艦隊の方が艦隊運動に分があった。
第十三艦隊の両翼は半月陣を敷こうとするケンプ艦隊両翼の先を抑えることに成功する。
「んん、さすがにフィッシャーの艦隊運動は名人芸だね」
「あの様子ですと、帝国側の防御ラインを削り取るのも時間の問題のようです」
「いや、敵は消耗戦の愚かさに気づくはずだ。まもなく後退して陣形の再編を図るだろう」
「それに乗じて攻勢に出ますか? 提督」
「いや、ここであの艦隊に勝ったところで全体には帝国軍の優勢は動かない。ここは敵が引いた隙に出来るだけ遠くに逃げるのが得策だ」
「逃げる……のですか?」
「この戦いは無意味だからね、生き延びるのが先決だ」
「なるほど……」
その頃、帝国軍のケンプ中将は、良くない戦況に苛立っていた。
「何をしておるか! 敵に先手先手を取られおって」
「どうも・・・艦隊運動では敵に一日の長があるようです」
「流石はヤンと言うべきか……このままでは損害が大きすぎる、いったん引いて陣形を立て直すぞ」
「しかし閣下、ここで引くのは敵の攻勢を誘うようなもの。危険ではありませんか?」
「承知しておる。だが、このまま無様な失血死をするよりは遥かにマシだ。違うか?」
「はっ、仰るとおりです」
帝国軍はいったん退いて、陣形の再編にかかる。
これを見たヤンは、今が退き時だと判断した。
「よぉーし今だ。全艦、逃げろ」
「はい」
第十三艦隊も攻撃を収め、後方へ撤退していく。
「なに? どうしたことだ、これは。やつらは勝っていたではないか」
「これは……他の空域の味方を助けに行ったのか、あるいは我々を誘う罠か……」
「敵はヤン・ウェンリーだ、これは罠に違いない。深追いは避けるとしよう」
――惑星リューゲン上空――
「ウランフ提督、既に我が艦隊は4割を失い、残りの半数も戦闘に耐える状態にありません。降伏か逃亡かを選ぶしかありません」
「不名誉な二者択一だな、んん? ……降伏は性に合わん、逃げるとしよう」
「はっ」
「損傷した艦艇を内側にして紡錘陣形をとれ、敵の包囲陣の一角を突き崩すんだ!!」
第十艦隊は陣形を紡錘陣形に変更する。
「砲火を集中しろ、撃って撃って撃ちまくれ!」
ウランフが咆える。
「怯むな、敵は最後の足掻きだ」
ビッテンフェルトも負けじと咆えるが、運命の女神はウランフに味方した。
第十艦隊の猛攻でビッテンフェルト艦隊の一部の艦列が崩れる。
「今だ!」
第十艦隊は崩れた一角に雪崩れ込み
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