第四章
[8]前話
「支え合って労り合っているんですね」
「それが家族ですし」
「そういうことかと」
「そうなんですね、ならこれからも」
その小太郎を見て言った。
「この子の命が尽きるまで」
「一緒にですね」
「いてあげるんですね」
「かなりの高齢で身体も痛んで弱ってますけれど」
それでもというのだ。
「少しでもです」
「そうされて下さい」
「そうしたらオーナーさんにとっても小太郎ちゃんにとってもいいですから」
「そうしていきます」
オーナーは優しい声と表情で頷いた、そうしてだった。
話を終えて外に出る二人を小太郎を抱いたまま笑顔で送った、その見送りを受けて山口の街に出てだった。
奈央は由実理にこう言った。
「もうね」
「今の時点でよね」
「私今回ここに来てよかったって思える様になったわ」
「私もよ」
由実理もこう返した。
「オーナーさんのお話を聞いて」
「小太郎ちゃんを見てね」
「そうなったわ、山口だけかと思ったら」
「それがね」
「素敵なペンションに泊まれて」
「あんなお話を聞けて知ることが出来たから」
「よかったわね」
本当にというのだ。
「山口に来て」
「そうよね、また機会があればね」
「ここに来ましょう」
「そうしましょう」
二人で話してだった、山口での旅行を続け。
二人は旅を終えて自分達の場所に帰った、その時オーナーと小太郎に満面の笑みで別れの言葉を告げた。
それから暫く山口に行く機会はなかった。だが。
二人は就職してからも交流を続けていて数年振りに山口に言ってそのペンションに泊まるとオーナーも小太郎も既にいなかった、しかし。
オーナーの姪、彼女に大切にしてもらったという人が経営を引き継いでいた。内装もサービスも料理の味も受け継いでいて。
二人はあの時のことを思い出せた、そして今は写真の中で笑顔でいる二人に挨拶をした。彼女達も笑顔になって。
労り合い 完
2020・7・24
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