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労り合い
第三章
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「今もこうしてです」
「元気ですか」
「そうなんですね」
「キャン」
「元気かといいますと」
 オーナーは彼、小太郎のその小さな鳴き声を聞きつつ二人に話した。
「もうかなり歳ですし身体もです」
「そうですか」
「よくないんですか」
「脊髄に疾患が出来ていつも痛んで」
 そうしてというのだ。
「満足に寝られないんですよ」
「それは大変ですね」
「背骨とかが痛いんですね」
「それでよくお水に入れてあげて7」
 その様にしてというのだ。
「そうして痛みを和らげてあげてその間でもです」
「寝られる様にですか」
「しているんですね」
「この子は家族ですから。それに」
 オーナーは二人に優しい声で話した、何時しか三人で小太郎を交えてペンションの庭にあるテーブルに座って話していた。
「この子は苦労してきたんです」
「苦労?」
「苦労っていいますと」
「三年前に亡くなった主人と十七年前に犬を飼おうってお話をした時に」
 その時にというのだ。
「気の毒な境遇の子を引き取って自分達に幸せにしてあげようって」
「お話してですか」
「そうしてですか」
「この子を引き取りました」
 その小太郎を見つつ話した。
「前の飼い主に酷い虐待を受けていて保護団体に保護されていたこの子を」
「虐待ですか」
「酷いことをする人がいますね」
「私は子供が産めない身体で主人も子供が出来ない身体で」
「それでお子さんとしてですか」
「その子を引き取ったんですね」
「引き取って一年位はずっと怯えて懐いてくれませんでした」
 オーナーは微笑んで話した。
「ですが次第に懐いてくれて」
「今もですか」
「一緒にいるんですね」
「そうです、そして主人が病で亡くなった時は」
 オーナーは悲しさ、もう乗り越えたそれの話もした。
「この子が何時も傍にいてくれて」
「慰めてですか」
「励ましてくれたんですか」
「癒してくれました」
 そうしてくれたというのだ。
「この子が。そして今もです」
「一緒にいてくれるんですね」
「オーナーさんと」
「一人だと寂しいですが」
 それでもというのだ。
「この子がいてくれて。私をいつも救ってくれています」
「あの、ですが」
「お話を聞きますと」
 二人はここまで聞いて優しい笑顔のオーナーに話した。
「オーナーさんもです」
「小太郎ちゃん助けてです」
「ずっと一緒にいてです」
「今も寝られる様に心を砕かれて」
「凄く労わっていますよ」
「そうですか、私にとってこの子は本当に子供で」 
 子供がいないこともあってとだ、オーナーは言葉の中にこの言葉も含めてそのうえで二人にさらに話した。
「掛け替えのない存在なので」
「大事にされてるんですね」
「そうなんですね
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