第85話『恋バナ』
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「お前だってさ、結月ちゃんのこと好きなんだろ?」
「…っ!?」
「何驚いてんだよ。隠してるつもりだったのか? それくらい見てりゃわかるわ。元から、お前に拒否権なんて無いんだよ! わかったらとっととくっつけ!」
「えぇ!?」
熱が入ったのか、再び声を大きくする男子。何とも強引な人だ。初めて会った時はこんな人だとは思わなかったのに、付き合いを深めると変わるもんだな。何だかそれが嬉しい気もする自分もいるのだが。
・・・って、そんな感慨に耽っている場合じゃない。
「ちょうどいい機会だ。この林間学校中に告っちまえよ」
「え!? そんないきなり…」
「いきなりなもんか。向こうは毎日告ってるようなもんだろ。それを見せつけられる俺たちの気持ちを考えろ」
「いやわかんないけど…」
何だか話がドンドンと進んでしまっているが、まだ晴登は心の整理ができていない。
というか、なぜいつの間にか告白をする側になっているのか。告白を受け入れるかどうかの話じゃなかったのか。
「男なら、当たって砕けろだ!」
「この場合は砕けたらダメじゃない…?」
「いいのいいの。何事も経験だからな」
まるで体験したかのように男子は言った。なるほど、言っていることは間違っていない気がする。でも告白なんてしたことないし・・・
「よし、そんなお前にいいことを教えてやる。実は林間学校の花火には──」
「おーい、まだ起きてるのか? もう就寝時間過ぎてるぞ。明かりもついてるし、周りの班に迷惑かけないよう、早く寝るんだぞ」
「うおっ、す、すみません…!」
彼が何かを言いかけた時、テントの外から先生の声が聴こえてきた。言わずもがな、見回りの先生だろう。慌てて彼は謝り、晴登は明かりを消す。
「ちぇっ、いいとこだったのに」
「しょうがないよ。もう寝ようか」
「そうだな」
先生に注意された手前、これ以上恋バナは続けられないだろう。いつまたヒートアップするかわからない。
晴登は寝袋に収まり、隣を見やる。そこでは既に、伸太郎と狐太郎は眠りについていた。割と騒いでいた気がするが、よく起きなかったな。そんなに熟睡しているのだろうか。まぁ今日だけでも色々あったし、疲れていたのだろう。晴登自身も恐怖心はだいぶ薄れてきたから、今なら眠れそうだ。
そういえば「花火」と言えば、結月も「花火の噂」とか言っていた気がする。もしかしたら彼が言いたかったことは、そのことなのだろうか。それなら気になるから、明日訊いてみるとしよう。
「俺、結局どうしたらいいんだろ…」
密かに悩みを残したまま、晴登は目を瞑った。
*
一方その頃、別のテン
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