第一章
[2]次話
ドーベルマンは怖い
幼稚園高学年の細川賢人の家に犬が来た、その犬を見てまだ小さい賢人は驚いた。
「何この犬」
「ドーベルマンだぞ」
「軍隊や警察にいる犬よ」
「ワンッ」
まだ子供の賢人より大きい、しかも黒い毛で引き締まった身体で精悍な顔立ちで見るからにかなり強そうだ。それで賢人は両親に怖くなって言った。
「こんな怖い犬がいるなんて」
「確かに強いけれどな」
「家族には吠えたり噛んだりしないわよ」
「だから安心するんだ」
「賢人ちゃんにも何もしないわよ」
「そうかな」
賢人はとても信じられなかった、両親にそう言われても。その犬は見るからに怖そうで実際に賢人は犬を見て怖くて仕方なかった。
何でもこの犬は雄で里親を探しているのを父が見て賢人の情操教育や家のペットそして番犬として飼うことにしたという、賢人は情操教育とは何かわからなかったが自分のことだと言われたことはわかった。雄で名前はケント、彼と同じ呼び方だったが親はケントはケンちゃんと呼ぶことにして呼び分けは出来た。
かくしてケントは賢人と一緒に暮らすことになったが。
賢人はとにかくケントが怖かった、夢で追いかけられたり襲われたりもしたし親と一緒に散歩に出ても何時ほえられたり襲われるのかと怯えていた。とにかくだった。
ケントが怖かった、それは小学生になって親に彼を散歩に連れて行けと言われた時もだった。
怖くて行きたくないと言われたがそれでもケントは暴れないし自分勝手に引っ張って行ったりしないと言われて無理に行かされた、だが。
人に話しかけられると唸り声をあげて威嚇し派手な服装のお兄さんやお姉さん達を見ると睨み賢人の言うことを聞かずだった。
勝手に道を行って賢人の行きたい道には行かない。それでだった。
賢人は両親父の正樹と母の由佳奈に賢人のそうしたことを話して散歩に行きたくなくそして怖いことも言ったが。
それでもだ、黒髪を清潔にまとめてきりっとした顔立ちの父も黒髪を長く伸ばしてはっきりとした目で小柄な母もだった。
賢人にだ、こう言った。
「お前には吠えないだろ」
「あんたを見て尻尾振る位でしょ」
「絶対に噛んだりしないな」
「そうでしょ」
「けれど大きいし怖いし」
それにとだ、賢人は両親に話した。
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