第三章
[8]前話
悟郎も他の子達もその返事に自然と笑顔になった、そしてだった。
実際に時々でもトッポに会いに老婆の家にお邪魔してだった。二学期がはじまってもそれからも学校の行き帰りに老婆の家の前を通ってだった。
トッポも他の猫達を見た、するとだった。
猫達は実際に家の二階の窓にいた、そうしてそこでくつろいでいた。勿論その中にトッポもいた。そして皆トッポを見て彼の話をしていた。
そうしているうちにだった、皆次第に猫達のことは話さなくなったし老婆の家にも行かなくなったが。
悟郎は老婆の家の前が学校の通学路だったので毎日家の二階の窓を見た、するといつもそこにトッポが他の猫達と共にいた。
そうしてトッポの姿を見て今日もいるなと確かめるのが日課になっていた。それは小学校を卒業するまで続き。
中学校でも高校でも通学路で続いてだった。
トッポ達を見ていた、トッポも他の猫達もずっとそこにいた。そして彼はいつも彼等を見て笑顔になった。
大学に進学しても自宅からだったので毎日見られた、老婆の家は駅までの道だったのでそれで引き続き見られたが。
それでもだ、就職は地元ではなかったのでそちらでの一人暮らしになり離れざるを得なくなった。それでも実家に帰る時は必ずその家の窓を見てトッポ達を見ていた。だが次第にだった。
猫達の数は変わっていなかったが違う猫達になっていっていて。
トッポはいなくなった、そして彼は二十七歳の時実家に交際相手を紹介しに行った帰りに玄関を掃除していた老婆あの頃より遥かに年老いた彼女にこう言われた。
「トッポも寿命でね」
「そうですか」
「他の猫の子達もね。今は別の子達を引き取って育てているよ」
こう言った、悟郎はトッポがずっと穏やかに暮らしていると聞いてそのことはよかったと思った。そうして交際相手と共に今の自分達の家アパートの一室がある勤め先がある県に戻った。
それから彼は結婚して子供が出来てだった。
そのうえで実家に帰省して妻と共に子供を両親に合わせて自分はふと気が向いたので外に散歩に出て。
あの公園のところに行くとトッポそっくりの猫がいた、悟郎がはじめて会った時の大きさで毛の模様も同じだった。
それで思わず猫に問うた。
「お前ひょっとして」
「ニャ〜〜ン」
猫は悟郎に応えずそっと彼の足元に来た、そして彼のすぐ傍にちょこんと座ったが。
悟郎はついついその猫を拾った、そして妻と両親に子供の頃のことそしてその猫のことを話して自分達の家に連れて帰って飼うことを許してもらった。その猫雄だった彼をトッポと名付けたうえで。
生まれ変わったのか 完
2020・7・22
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ