ちいさなしまのおはなし
夜の静寂に
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までの行動を必死に思い出していた。
あまり頭がいい方ではない大輔ではあるが、デリカシーが全くないわけではない。
アメリカで生まれ育ったせいで空気が読めないところはあるものの、基本的には大輔は優しい子である。
相手が笑っていると大輔も楽しくて、相手が泣いていると大輔も悲しくなる。
感受性が強い子で、人の悲しみに敏感なのである。
猪突猛進だが、決して前しか見ていないわけではなく、誰かが置いてけぼりを食らったり、1人でぽつんといる子によく気づき、どうしたのって戻ってきてくれるのである。
1番前を走っているはずなのに、いつも1番後ろの子に気づいて、声をかけてくれるのである。
だから、知り合ったばかりだけど、パートナーだって、待ってたって言ってくれて、大輔を護るために大きくなったブイモンが何か悩んでいるのなら、力になりたかった。
屈託なく笑って、ダイスケダイスケって慕ってくる不思議な生き物が、悪いもののはずがない。
勘とも言うべき感覚が、大輔にそう告げている。
それは間違いではなかった。
「……なあ、ブイモン。俺のこと、パートナーだって、待ってたって、言ってくれたよな?そんな俺にも、どうしても言えないことなのか?」
未だに震えている右手を落ち着きなく左手で擦っているブイモンの両手をとり、包み込むようにしっかりと、優しく握る。
まだ出逢って1日も経っていない、これから始まる冒険もどれぐらいかかるのかも、相手のこともよく知らないのに、大輔は目の前にいる不思議な生き物の力になりたいと心の底から思っていた。
クワガーモンと戦っていた時はあんなに凛々しい表情をしていたのに、昼間みんなで移動する際は愛嬌のある笑顔を浮かべていたのに、それが今はこんなにも不安そうなのである。
何とかしてやりたいと、この震えを止めてやりたいと、大輔が思うのは当然だった。
──どうしよう
真っ直ぐな目で見つめてくるパートナーに、ブイモンは何も言えない。
いつかは、言わなければならないだろうなって、思ってはいたけれど、まさか出会って初日で覚悟を決めなければならなくなるとは思ってもいなかった。
どうしよう、ブイモンは必死で考える。
ずっとずっと待っていた、待ち焦がれていたパートナー。
気が遠くなるような月日を、皆で身を寄せ合って待っていた。
時には意地悪なデジモンに虐められて大変な思いをしたこともあったけれど、それでもパートナーのことを思えば、そんなもの何でもなかった。
やっと来てくれた時には、嬉しくて嬉しくて、思わず飛びついてしまった。
嬉しさの方が、勝っていた。
だからもしブイモンの“秘密”を打ち明けたとして、信じてくれるかどうか。
大輔のことはとってもとっても大好きで、心から信頼しているけど、大輔はどうだろう。
初めて会った時、思わ
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